空はやっぱ青い28

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「はい、わかりました。またご連絡いたします」
 その時、藤堂がそう言って電話を切ったので、良太は振り返った。
「良太ちゃんに代わろうと思ったら、ブチって切れちゃったよ」
 肩を竦めながら藤堂は戻ってきて良太に携帯を渡す。
「あの人はそういう人なんです」
 ムッとした顔で良太は断言した。
「それで、工藤何か言ってましたか?」
 お茶やグラスを持ってみんながリビングに移動すると、気になっていたことを良太は尋ねた。
 すると、藤堂は「うん、まあ」と珍しく言い淀む。
「工藤さんの方には宮下さんから話が言ったらしいね。良太ちゃんを起用してもいいかって」
「ええ、それで、俺、ミーティングの時も、宮下さんに何か言われたらきっぱり言い返すぞって、いろいろ頭の中でシュミレーションしてったのに、宮下さんは何も言ってこなくて肩透かしって思ってたら、最後に紫紀さんが」
 良太は言葉を切った。
「紫紀さんが出張ってきたってことはもうプランを固めた方がいいって、工藤さん」
「え? プランを固めるって、ほんとに本決まりってことですか?」
 藤堂の話に良太は眉をひそめた。
「ま、そういうことかな。紫紀さん、かなり上機嫌だったでしょ? あれは宮下さんとももう打ち合わせ済みだったんだろう。紫紀さんのことだから、先々のことまでお膳立てしてるんじゃないかってさ」
 それを聞くと良太はまた大きくため息をついた。
「紫紀さんが出てきたところで、俺も悪い予感が当たったって気がしましたよ」
 良太は首を横に振る。
「紫紀さんって、これって思うともう結末まで見通しているっていうか」
「何が悪い予感だよ。ちょっとCMに出るだけだろ? いつもドラマやCMにいろんな人間出してるのはお前だろうが」
 沢村が口を挟む。
「それは、出演して当然の人たちだろ」
 良太が吐き出すように言うと、「何だよ、それ」と沢村も呆れた顔をした。
「そうだね、良太ちゃんにはちょっと試練になるかも知れないが、これは乗り越えなくちゃならない試練だと思うよ」
 藤堂がきっぱりと言った。
 それを聞くと良太は、反論しようとしてやめた。
 自分もこれまで、出演を渋る人を説き伏せて出てもらったこともある。
 クライアントがそれを望んでいるのであれば、良太としてはそれに応えられるよう最善を尽くすのが仕事だ。
 紫紀や宮下が良太に出演しろというのであれば、不承不承でもでなくてはならないことはわかっている。
「大丈夫ですよ。もしそうなったらそうなったで、ちゃんと全力つくしますから」
 良太の言葉に、沢村はまだ渋い顔をしていたが、それから直子がこのビルの二階に秋にオープン予定のギャラリーを楽しみにしているという話から、ギャラリーの第一弾は、日本の三人の若手作家の作品展が決まったと藤堂が言った。
「それってもしかして、五十嵐くんたちですか?」
 良太が思いつくと、佐々木も頷いた。
 


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