空はやっぱ青い27

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「はい、お疲れ様です。そっち真夜中ですよね」
 良太は携帯を持ったままテーブルから離れて窓際に立った。
「今さっきまで、斎藤と飲んでたんだ。宮下は何か言ってきたか」
 工藤も一応気にしてるんだ、と良太は思う。
「宮下さんは今回何も言ってこなかったんですが、紫紀さんが」
「紫紀さんが出張っていったのか?」
 工藤は良太の言葉を遮るようにして尋ねた。
「ええ、はっきり出演しろということではなかったんですが、紫紀さんの提案を総合すると、暗に出演してもらうことになるかもしれない、みたいな」
 良太は紫紀ののらりくらりとした言い方を思い出して、そう言った。
「フン、紫紀さんがわざわざ出向いたってことは、ほぼ宮下と意見が一致しているってことだな。紫紀さんの提案だと?」
 工藤はまた聞き返す。
「ええ、最後に紫紀さんの提案として俺が出ることによって相乗効果で云々みたいなプランが追加されたんです」
「あの人は食えないやり方をするからな。どうやらもうお前が出演することは裏では決まりってことだ」
 それを聞いて、「ええ?! だってもしかしたらみたいな言い方でしたよ?」と良太はちょっと声を上げた。
「あの人のもしかしたらは、もう決まりってことだ。まあ、覚悟決めるんだな」
 突き放したような言い方をする工藤に、「そんなの詐欺ですよ!」と良太は訴えた。
「おい、また工藤に難儀をおしつけられたのかよ」
 酒を飲んでいるので沢村が背後で大きな声を上げた。
「誰だ?」
 怪訝そうに工藤が聞いた。
「沢村ですよ。あいつ飲み過ぎ。今日は佐々木さんとこで藤堂さんとか直ちゃんとかと食事してるんです」
「藤堂もいるのか? ちょっと代われ」
「え? はい」
 良太はテーブルを振り返ると「すみません、藤堂さん、工藤が代われって」と藤堂を呼んだ。
「えっ! 俺、何か怒らせるようなことしたかな」
 半分おちゃらかしたように言うと、藤堂は良太から携帯を受け取った。
「お疲れ様です、藤堂です」
 良太と入れ替わるように窓際に立った藤堂はそれからしばらく工藤と話していたが、良太は気になったものの、とりあえずテーブルに戻った。
「工藤さん? 何だって?」
 直子がすかさず聞いた。
「いや、東洋商事のミーティングのことで」
「工藤が何かいちゃもんつけてきたのかよ」
 もぞもぞと口籠る良太に沢村がまた詰め寄った。
「そんなんじゃないよ。ただ、わざわざ紫紀さんが出向いてきたってことはもう決まりだとか何とか」
 すると小首を傾げながら、「ああ、なるほどね、今回紫紀さんが来るやなんて聞いてへんかったもんな」と佐々木が言った。
 良太は「やっぱ決まり、ですか」と大きくため息をついた。
「何をためらってんだよ。CM出るってだけだろ?」
「お前みたいに能天気なら、悩まないよ」
 良太は沢村につっかかる。

 


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