空はやっぱ青い26

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 翌日の夜は、沢村と直子、佐々木、良太に加え、翌日東京に戻るという藤堂も加わって、佐々木の部屋で食事会となった。
 藤堂がワインやデリカテッセンで仕入れてきたパストラミサンドイッチを、沢村は日本酒の店でピザなどを持ち寄り、佐々木が牛肉、白菜、キノコなどが入った寄せ鍋を作り、みんなを喜ばせた。
 直子とかぶらないよう打ち合わせて、直子はチーズケーキやプリン、良太はネットプライムで美味しいと聞いたドーナツを持参した。
「いやあ、ニューヨークで鍋が食べられるとは、感激過ぎる!」
 いつものように大仰に藤堂が言えば、
「ほんと! 佐々木ちゃんの傍にいると、日本を恋しくなる心配がないよ!」
 と直子が楽し気に笑う。
 良太も美味いものを前にしては、仕事や工藤やいろんな悩み事などどこかに吹っ飛んで、ひたすら健啖ぶりを発揮する。
 沢村は、「やっぱ日本酒だよな」と、グラスに並々と酒を注いで、オヤジ臭いことを言う。
「こっちでも大抵の調味料とかはそろうから、具材さえあればなんでもできるわ」
 佐々木は鍋の出しがうまく出たことに満足げだ。
「そういえばコースケちゃん、佐々木先生にみっちり仕込まれて、結構最近じゃ、いっぱしの茶人じみてきたよ」
 藤堂が佐々木に告げた。
「ああ、コースケちゃん、めずらしうおかんがほめとったわ。けどその分、ええように使われてるんやないか?」
「まあ、そうみたいだけどね、コースケちゃんなんでも一生懸命だから、お弟子さんたちにも可愛がられてるみたいで」
 ちょっと心配顔の佐々木に、藤堂が答えた。
「でもよかった。あたしもこっちにきちゃったから、心配だったのよ。コースケちゃんもさ、最初は無理やり引っ張り込んだっぽいしねえ、やめちゃったらどうしようって」
 直子が小首をかしげながら言った。
「すごいですね、浩輔さん。仕事こなしながら、茶道も極めちゃうって。俺なんか、能にクラシックに何だかだと首を突っ込んでますけど、一つとして極めるとかないですよ」
 プリンを堪能しながら、良太が言った。
「いいんだよ、良太ちゃんは、コンダクターなんだから。自分が出演することで、コンダクターとしても隅々まで見渡せるってもんじゃない?」
 藤堂に振られて、良太は「美味しいものを食べていい気分の時に、やなこと思い出させないでくださいよ」と文句を言った。
「やなこととか思っちゃいかんのじゃないかな」
 藤堂は柔らかく否定した。
「はあ、まあ、そう、ですね」
 良太は頷き、「でも、まだ本決まりじゃないですよ」と念を押す。
「何だよ、CMに出るのまだ渋ってるのかよ」
 そう言うと、沢村は良太のグラスに日本酒をコクコクと注ぐ。
「わ、その辺でいい。明日仕事なんだよ」
 慌てて制する良太に、沢村はとりあわない。
「まだ七時だぞ? 平気さ、このくらい」
 と、その時良太の上着のポケットで携帯が鳴った。
 ワルキューレである。
 東京、真夜中だろ!
 良太は焦りながら電話に出た。
 

 


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