空はやっぱ青い35

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「ああ、ちょっと、なあ」
 佐々木は口籠る。
 藤堂には良太と話してみる、とは言ったものの、仕事のことだけならまだしも、どうやら工藤と良太の複雑な関係性も絡んでいるらしい。
 イロコイの経験も薄いような自分に、果たして良太に何かアドバイスなどできるのだ
「お茶にしよ? 藤堂さんからもらったパイ、食べようよ」
 思案に暮れている佐々木を見て、直子が立ち上った。
 笑みを浮かべて佐々木もあとを追って窓が大きく広がるリビングスペースへと向かう。
 一番町の佐々木オフィスも決して狭いわけではない。
 だが、お茶をするために移動する時間がものを言うこの広さは半端ない。
 ゆったりとしたソファセット、キッチン、ジムスペース、それこそよほど素晴らしいデザインが生まれるはずだと言わんばかりのアークスペース、窓の外はニューヨークの一等地。
 ウイルソンが、佐々木と直子、二人だけのオフィスのために、馴染みのデザイナーにリノベーションさせた快適と言えば快適過ぎるオフィスだ。
 二人の住居に関しては無論だが。
「美味しいいい」
 口いっぱいの大きめのブルーベリーパイを飲み込んで、直子は言った。
「お茶も最高! 最高級のダージリンよね」
「ほんまに、何もかも贅沢の極みやな。これに慣れたら、日本に行ってから困るで」
 佐々木もパイにフォークを刺しながら、頷いた。
「けどこの、広さがなあ。ウサギ小屋で満足とった俺にしてみたら、ちょお広すぎるで」
 ボヤキとも何とも言えない感想を口にする佐々木に、アハハと直子は笑う。
「大丈夫よ。帰ったら帰ったでほっとするから」
「ふん、なるほど」
 パイを食べ終えて一息ついたところで、「それで、何を悩んでるの?」と直子が聞いた。
「ああ、それなあ」
 佐々木は躊躇しつつ、どのみち直子は知っているだろうと、「良太ちゃんのことなんやけどな」とぽつりぽつりと切り出した。
「頑なだよねえ、良太ちゃん。黒歴史の話は私も聞いたことはあるけど」
 直子は頷きながら言った。
「だってこないだのパワスポ、ちょっとバズってるよ。沢村っちの素顔がいいってのはもちろんだけど、良太Pって何者ってとこから、その黒歴史に辿り着いたユーザーもいてさ、ここにきてじわってる」
「え、ほんま?」
 佐々木は直子をまじまじと見た。
「そりゃ、良太ちゃんって、自分でわかってないみたいだけど、元気印で可愛いし、その黒歴史、最初に目を付けたのが藤堂さんなんでしょ? あの藤堂さんが目を付けたってからには、もし俳優とかやってたら、もうとっくにスターダム駆け上がってたかもよ?」
 直子の言葉に、佐々木も、「そうかもなあ」と肯定した。

 


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