空はやっぱ青い37

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「身内だろうが何だろうが、工藤さんがそんなヘマしないと思う。あれは、本気で言ったんじゃないけど、本音も入ってるのよ」
 佐々木は直子の言わんとしていることが理解できず、眉を顰める。
「本気やないけど本音?」
 直子は大きく頷いた。
「つまり、藤堂さんに良太ちゃんを使いたいって言われた時には、工藤さんも実は、良太ちゃんならやれるって見抜いてたのよ」
「それやったら何で?」
「だからあ、工藤さんとしては見抜いたからこそ、良太ちゃんに俳優路線でスターダムにのし上がるとかさせたくなかったのよ。だから思い切り否定した言葉が、商品価値がないなんて、なったわけ」
 佐々木はそこまで言われても、怪訝そうな顔をする。
「つまり、工藤さんは良太ちゃんを手元に置いておきたいって思ったのよ、きっと」
 それを聞くと佐々木はようやく、ああ、と納得した。
「まあ、いろいろ鬼の工藤にも葛藤があるてことよ。今だって、良太ちゃんをプロデューサーとして伸ばしてやろうって、研修にも出したけど、三か月なんて長いとか思ってそう」
「なるほど、ああ、藤堂さんの言うてた多分、いうんもそれやったかも知れんわ」
 鬼の工藤も良太のこととなると、目の色が変わるらしいと、佐々木も思い当たる。
 何せ、このニューヨークでもガード付きで、はっきり言って過保護極まりない。
 対外的にはええ大人が、しかも鬼の工藤ともあろうものが、とか思うてまうんやろな。
 けど本音は、良太ちゃんが可愛いいうことなんやなあ。
 佐々木はそんなことを考えて、工藤と良太の複雑な状況を思いやった。
「工藤さんもほんまに悩むとこやなあ。良太ちゃんを伸ばしてやりたい、思うんとは逆に、今のまままだ手元においておきたいとか」
 工藤の心の内を代弁するように佐々木は言った。
「だからあ、良太ちゃんは自分では気づいてないかもだけど、もうずっと進化してきてるわけよ」
 直子が断言するのに、「進化て、ダーウィンか」と佐々木は苦笑する。
「それに良太ちゃんが自分から工藤さんの元を離れたりするわけないもん。だから工藤さんも良太ちゃんも何も心配することなく、いろいろやったらいいのよ!」
 さらに直子は気合を入れた。
「うんうん、せやなあ。ともかく、今は、工藤さんに対する感情で動きが取れなくなってる良太ちゃんが、いかにして、このプロジェクトでこだわりのう、やり遂げられるか、やな」
「そう、それ!」
 直子が大きく同意した。
「とにかく、やってみるわ」
「無理しないでがんばって! 私にできることは何でも言って!」
「わかった!」
 何をすべきかにやっとたどり着いた佐々木の頭では、既に沢村と良太、それにアスカとのシーンが動き始めていた。

 


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