幻月38

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 良太は用意していた答えを口にした。
「殺された女性、松下美帆の付き合うてた友成陽介には別に女がいて、田口紀佳いうんですが、広尾でブティックやっててこの人、誰かに似てる思いませんか?」
 千雪はタブレットに女性の画像を映し出した。
「ひょっとして、殺された松下美帆?」
 良太は画面をのぞき込んで言った。
「そうや。同じブランドの派手な赤いワンピース、髪の色を変えて化粧濃くしたら、案外こういうはっきりした顔の人やったら、薄暗い中で同じ人間に見えますて」
 千雪の説明に、小田は、「どういうことだね?」と訝し気に尋ねた。
「この女が、工藤さんが部屋に入ったいう時間の三十分とたたんうちに、ホテルから出てきよったみたいなんです。もちろん、服着替えて」
「ってことは、この女が松下美帆を殺した?」
 良太は思わず声を上げた。
「いや、この女一人でやったかどうかわからん。こっちの男が共犯か知れん」
 先ほど良太からラインで送られた男の画像をタブレットに映し出した。
「おそらくこの男や思うけど、事件がある一時間ほど前、でかいスーツケース引いて、ちょうど事件のあった階のすぐ上の階にチェックインしとる。で、こいつは翌日チェックアウトしてったらしい」
「しかしいったいどうやってそんな情報を知り得たんだね? 私もホテルのカメラは調べさせてもらったが、事件の前後くらいのものなので、残念ながらめぼしい情報は得られなかった」
 千雪が説明するや、小田が難しい顔で言った。
「これはホテルの警備会社に潜り込んだダチの情報ですよって、もしこれを証拠の一つにするんなら小田先生に正式にこの情報を引き出してもらわんとあきませんけど」
「そうか、わかった」
「こっちは工藤さんがはめられたいう前提で事件の起きたいう時間の前後を探ってますよって。警察はアホやから、工藤さんが犯人や決めつけてるよって、その時間のことしか調べてへん」
「うーん、なるほど」
 小田は唸った。

 


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