「なるほどね、パートナーはワンコか。でも一人で留守番とか可哀そうじゃない?」
「ワンコの方がニャンコより一緒に動けますよ。まあ仕事だとちょっとあれですけど、千雪さん、よく一緒に連れ歩いてます」
宇都宮の杞憂に、良太が答える。
「なるほど……」
「あ、そうよ、トシちゃん、ワンコと一緒に散歩に行くじゃない? そうするとワンコ連れの誰かと知り合うチャンスも巡ってくるかもよ?」
ひとみは自分の思い付きに得意げだ。
「確かに、ワンコ連れ同士とか話はずむよね」
竹野も同意してワインを飲む。
「宇都宮さんと大型犬って似合い過ぎかも」
須永が想像を膨らませる。
「そうよね、アフガンとか高貴な感じじゃない?」
「ドーベルマンとかシェパードなんかもいいよね」
ひとみや竹野が勝手なことを言い始めた。
「おいおい、ワンコはファッションじゃないんだぞ」
宇都宮は苦笑いする。
「ワンコ、いいんだけどさ。子供の頃は犬も猫もいたから。でも、あれだな、今なら保護犬だな~」
意外な発言に良太は宇都宮を見た。
「でもな、保護犬ってのがまた引き取る時の条件とかメンドイんだよ。実は何年か前、引き取ろうとしたことがあってさ、独身の男ってのに対してなかなか厳しいンだなこれが」
「やだ、そんなことまで考えてたの? トシちゃん、デキ過ぎ」
ひとみが感嘆の声を上げる。
「あ、それなら、わんにゃんの保護活動やってる人知ってますから、そっちからあたってみたらどうですか?」
良太が思いついて宇都宮に提案した。
レッドデータの音楽を担当するドラゴンテイルの水野あきらがそんなことを言っていたのだ。
「や、良太ちゃん、何だか、現実味を帯びてきたね。知り合いって?」
宇都宮も興味を持ったようだ。
「ええ、ドラゴンテイルってバンドの」
「ああ、あきらのこと?」
ひとみが声を上げた。
そう言えばひとみと知り合いだったと聞いたのを良太は思い出した。
「そう、水野あきらさん。だけでなくて、バンドのメンバーみんな、動物の保護活動とかやってるらしくて」
「最近会ってないけど、あきら、結構人見知りなのに、良太ちゃん、仲良くなっちゃったんだ?」
ひとみが笑う。
「ドラゴンテイルのメンバーとお知り合いなの? さすが良太ちゃん!」
「ちょっと! 私にも紹介してよ! 好きなんだから、ドラゴンテイル!」
宇都宮を遮って、竹野が俄然身を乗り出してきた。
「あ、はい、機会があったら…………」
なかなか宇都宮にドラマの話を持ち出せないままだったが、じゃあひとまず片付けるか、と宇都宮が立ち上がったので、手伝います! と良太も立った。
あとの三人はいい加減酔っているらしく、ドラゴンテイルの話で今度は盛り上がっている。
良太は使った食器を両手に持ち、土鍋を持ってキッチンに向かう宇都宮のあとに続く。
グラスを新しいグラスと取り替えてキッチンに運ぶと、宇都宮が食洗機に入れていく。
「あの、宇都宮さん?」
良太は意を決して声をかけた。
「ん?」
「来年のスケジュールとかって、やっぱかなりたてこんでますよね?」
すると宇都宮が良太を見下ろした。
「ははーん」
宇都宮はにやりと笑う。
「何かさ、いつだったか、坂口さんと出くわした時も、良太ちゃんみたいなこと聞いてきたんだよな」
「え……」
なんだ、坂口さん、もう打診してたわけか?
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