孫が可愛いと思わなきゃ、気にかけたりしないよな。
逢うことがそうそうできないから、余計に工藤のことは気になっていたんだろう。
だからってなんで俺、なんだよ!
俺なんか、ただの部下なんだからな!
工藤と久々顔を合わせて食事をしているのに、と、良太はグチグチと心の中で文句を言いながらも目の前に並んでいた料理は平らげた。
不服そうな顔をした良太を、工藤はいつものように前田の店に連れて行った。
オフィス近くの地下にあるこの店の重いドアを開けると前田がカウンターの中から、いらっしゃいませ、と出迎えた。
まだ会社を興す前から度々訪れていたこの店は二十年来変わらない、工藤にとって数少ない落ち着ける場所だ。
工藤がバカルディのグラスを傾ける横で、良太はウォッカソーダをゴクリと飲んだ。
グダグダ考えてしまう時に強い酒を飲むと悪酔いするだろうことはわかっていたからだ。
それに、この店が工藤にはメンドクサイ話をしたい場所ではないことも知っていた。
客は大抵一人か、二人いてもたまにひそひそ言葉をかわす程度で、カップルでいちゃつくような場所でもない。
良太にとっても居心地のいい場所ではあるが、頭の中は常に何か考えることばかりで、工藤のような境地には程遠い。
店を出て部屋に戻ると、ネコたちのお世話をして、シャワーを浴びて、ポカリを飲みながら良太が炬燵でうとうとしているのを見計らったように工藤がドアをノックした。
結局、こうなるんだよな。
ドアを開ければ良太はもうエロいキスに翻弄されて、ベッドに連行され、あとは少し酔っている工藤は本能に忠実に野生を取り戻してあっさりと身体を繋ぐと、ガシガシと良太の奥を幾度も穿つたびに良太が喘ぐのを愉しんでさえいる。
「やっ……な……んだよっ! オヤジのくせにがっつくなっ!」
やっとのことで良太ははむかいの詰りを口にする
「二週間近くほっといた埋め合わせだろうが」
「ほざくなっ! 何が埋めあわ……っ……はあ……っ!!」
喚いている最中にも弱いところを責められて、良太は自分でもわからないおかしな声を上げた。
「黙って、埋めあわされておけ……!」
二度三度と埋め合わされるうちに、身体がふやけると、どうにでもして、から、もっと欲しい、になってしまういつものパターンで、良太は明け方までオヤジを補給されつくした。
数日後、京助を伴った千雪、辻とその仲間たちが青山プロダクションのオフィスを訪れた。
大柄な面々がソファに六人、窮屈そうに座っている。
「でかいのんがわんさか押しかけてしもて、これシュークリーム、めちゃうまいです」
千雪がシュークリームの入った袋を渡すと、鈴木さんもにこやかに一言二言千雪と言葉を交わしてから、キッチンに行った。
「俺らもこんなオフィスほしいよな」
初めてオフィスに来た男たちはしばし中を眺めていたが、山倉がそんなことを言った。
「フン、まだまだ夢のまた夢やで」
辻がまんざら否定もせずに言う。
鈴木さんがコーヒーとロールケーキを運んできて、にこにこと「京都ではご活躍でしたわね、お疲れ様です」と皆に配っていく。
京助や加藤はそんないかつい顔をしているわけではないが、辻、山倉、白石はでかい上にいかつく、山倉や白石は髭もたくわえていたりするので、ごく普通の人間ならあまり近づきたいとは思わない部類の人相だろう。
やっぱ鈴木さんは只者じゃないね。
良太は電話をしながら、自分のデスクに戻っていく鈴木さんを見た。
ようやく電話を終えた良太は、ごつい来客たちに歩み寄り、「今日はお忙しいところご足労頂いてすみません。もうすぐ社長の工藤が戻って参りますので」と型通りの挨拶をした。
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