寒に入り47(ラスト)

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 翌朝目が覚めた良太は、工藤の胸に寄り添うようにして寝ていたのに気づいて、ぼうっとした頭のままベッドを降りたのだが。
 それこそ今さらなのだが、何か、工藤の胸に抱かれてとか、考えるだけでこそばゆいというか、ハズイというか。
「スーツ、俺、クリーニングに出しときます」
「おう、頼む」
 シャワーを浴びた工藤は、工藤用に置いてある大き目のバスローブのまま、良太の買ってきたサンドイッチとサラダを新聞を読みながら食べている。
「冬だし、工藤さんこそ、風邪ひきますって」
「うーん、隣の部屋に取りに行くのもメンドイな」
 そんなことを言う工藤は、よほど疲れているのだろう。
 疲れてるくせに、エロパワー全開だし!
「メンドイから、壁ぶち抜いてドアでもつくるか」
「はあ?」
 良太はさすがに工藤を振り返る。
「このままいくと、お前、俺の介護って話が、じき来ちまうんじゃないか?」
「はあああ? 何、言って!」
「そうなると、やっぱドアがあった方が」
「変な冗談やめてください」
「冗談なもんか、現実的な話だぞ?」
 新聞越しに喚き散らす良太に、工藤が言い返す。
「ああ、介護の前に俺の寿命が尽きる方が早いかもだから、ま、心配ないか」
 途端、良太はテーブルをドンと叩く。
「そういう、バカなこと、言うんじゃねえ!」
 今度は怒鳴りつけた良太を、工藤は新聞を下げて見上げた。
 涙目で睨み付けていた良太は、空になったマグカップをシンクに持って行く。
 工藤の場合、ジョークとも言えない危うさを抱えているのをわかっている良太には、工藤が軽く言葉にするのが腹が立つのだ。
 さすがにからかい過ぎたかと、工藤は苦笑して、ごしごしとカップを洗っている良太の背中からハグした。
「冗談だろうが。今夜、夕顔でメシ食うか?」
「食いもんでつられると思ってるだろ」
「八時には戻る」
 工藤はそう言うと、良太の頭を掻きまわしてバスローブのまま部屋を出て行った。
「何だよ。後ろからハグとか、どっかのドラマのシチュエーションに使おうとか思ってただけだろ!」
 恋人みたいなマネしやがって。
 まあ、夜も一緒にメシ、食うんなら許してやってもいいけど。
 悪態をつきつつも、今日一日はまた何かハプニングが起きなければいいな、と願う良太だった。

 


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