「それは大丈夫でしょ。デザイナーさんだっけ?」
「そう。たまに女子会とかするんだけど、美紀ちゃん、全然出会いがないっていつも言ってる」
出会いがない人って、案外いるもんだな。
これはけっこう集まりそうかも、と良太は思う。
「まあ、そういう目的だけじゃないけど、いろんな業種の人と知り合えるかもって面白そうだしね」
「それでね、佐々木ちゃんが、あたしが一人だと心配だから参加するって言ってるんだけど」
「うーん、全然OKだけど、でも沢村が騒がないかな?」
「大丈夫! 指輪つけていけばいいし。沢村っちからもらってるんだけど、つけたことないんだよね、佐々木ちゃん」
「そうなんだ………」
指輪か。
沢村ならとっくに佐々木さんに渡してるか。
結婚だけじゃないよな、指輪とかでも一応パートナーがいるって表明してることになるよな。
直子を家に送り届けた良太は会社へと取って返した。
部屋に戻って猫の世話をしている時、携帯が鳴った。
「お疲れ様。終わった?」
かけてきたのは森村だった。
時刻は十時になろうとしている。
今日は『コリドー通りで』のロケに工藤と一緒に行っているはずだ。
四月の第二週からもう放映が始まるので、制作サイドもピッチを上げている。
「あ、えっと、まだかかりそうなんですけど、ちょっと例の異業種交流会のことで」
「どうした?」
「前に、大森さんが出会いがないって嘆いてたんで、交流会のこと話したら、参加したいって」
大森和穂は、会社とは長い付き合いの大道具などを扱っている業者で、大森美術の社長の娘で、二代目としてバリバリやっている姉御肌だが、芸大を出てたまに木工彫刻の展示会をやったりするアーティストでもある。
年齢を直接聞いたことはないが三十代半ばで独身、いつも彼氏募集中が口癖のようになっている陽気な女性で、以前ニューヨークに留学していたこともあり英語はぺらぺらで、森村と顔を合わせると早速気が合ったようだ。
「いいんじゃないか? こういう業界の人たちってよく狭い世界だとか言ってるし」
「うん、そうなんだけど」
「え? 何か問題でも?」
口籠った森村に良太は聞き返す。
「それが、大森さんと話してたのを宇都宮さんが聞いてて、日が合えばぜひ参加したいって」
「ええ? 困ったな………」
宇都宮の参加を拒否る理由はほぼないといえばないのだが。
「あんな人気俳優が顔を出したら、注目集めちゃうよな」
「ですよ。意識しない方がムリ」
森村は不服そうに訴える。
「けど、まあ、さすがにアイドルってわけじゃないから、集まるのは大人なわけで、人気者過ぎるからダメとは言えないだろ」
ふう、と良太は息を吐く。
「宇都宮さんも数年前に恋人と別れてからずっとシングルみたいだし、やっぱ出会いがないって言ってたし、日が合えばってことでOKしといてよ」
「わかりました」
森村は面白くなさそうに返事をした。
まあ俳優が一人くらい混じっていても、そこは異業種ってことで問題はないはずだ。
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