霞に月の42

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「ってか、何でいるんだよ?!」
 唐突に口走った良太に、「え、どうかした?」と森村が怪訝な顔を向けた。
「いや、ちょっと、あとで話す」
 とにかく何か食べて気を落ち着かせてからだ。
 良太はサンドイッチやローストビーフなどを皿にとったが、何を食べているかも把握していないくらい、直子の隣にいる中井を凝視した。
 が、その時、中井と話している高野に目をやった時、思わず食べているものを落っことしそうになるくらいフリーズした。
 待て待て待て待て待て待て!
 先ほど繰り返した科白を再度心の中で繰り返すと、良太は、はあ、と思い切り溜息をついた。
「大丈夫ですか? 良太さん」
「あ、あ………」
 森村に不審がられて、良太はやっと返事をした。
 気づいたのは高野の指の動きだ。
 きれいな細い指が、サムズアップしたのだ。
 良太はそれが割とくせになっている人を約一名知っていた。
 あの二人、結構仲良くなってたからなあ。
「モリー、ちょっと」
 良太は森村を促して人のいない隅の方へと移動する。
 そこでたった今気づいた事実を森村の耳に囁いた。
「ウソっ!」
 思わず声を出して、森村は高野と中井を見た。
「まあ、二人とも変装してわからないと思ってるみたいだから、この際、そっとしとこう」
 どうやら直子も一枚かんでいるらしいという結論になる。
 藤堂は知ってるのか知らないのか、いや、あの人、気づいてもタヌキだから知らんぷりしてるかもだけど。
 良太が顔を上げた時、ちょうど天野が入ってくるのが見えた。
「あ、天野くん、こっち」
 ひとみが天野に気づいて手招きした。
 これは挨拶をしておかないとだよな。
 そう思って腕時計を見ると、交流会開始時間を三十分過ぎていた。
 工藤はまだ来ていない。
 まあ、時間厳守とかいうのはないけど、来るのかなあ。
 気にしても仕方がないと、良太と森村はワインとビールをそれぞれ手に、ひとみたちの方へ向かった。
「あ、良太ちゃん、森村くんもお疲れ様」
 横から声をかけてきたのは、紫紀だった。
 小夜子はその向こうで千雪と笑い合っている。
「お招きに預かりましてありがとうございます」
「思った以上に賑やかな会になってよかったよ」
 紫紀に言われて。おそらく招待客ほとんどが出揃ったようだと良太はホールを見回した。
 藤堂も大森と何やら話が盛り上がっているようだ。
「あ、良太ちゃん!」
 大森と目が合うと、おいでおいでをされた。
「お疲れ様です、大森さん」
「実は、今度、『銀河』で作品展をさせていただくことに決まったのよ!」
 大森が弾んだ声で言った。

 


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