月澄む空に115

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 なーんだ、三か月かよ。
 気を張っていた良太はちょっと気が抜けた。
 それに、三か月といったって、そこそこ長いわけで、その間に工藤、誰かとってことだって。
「三か月も猫たち、留守番させるのか……」
 と今度は猫のことが心配になってきた。
「うっとおしいやつだな」
 言いながら工藤は後ろから良太のTシャツを脱がせにかかる。
「ちょ、何やってんだよ!」
 頭からスポッとTシャツを取り上げるとトンと良太の背中を押してソファに倒した。
「わ!」
「お前は何でそういつも色気のない反応だ」
 工藤はジャージのズボンをするりと引き下ろす。
「なにしやがんだ! エッチ! オヤジ!」
「オヤジがエッチじゃなくなったらおしまいだろうが」
 良太の足の上に乗っかると、工藤の手は良太の胸のあたりに伸びた。
「不同意だと強姦罪になるんだぞ! 俺だってちょっとは法律齧ったんだからな」
「あいにくここは治外法権だ」
 在学中に司法試験を突破したオヤジは平然と答える。
「勝手なことをぬかすな!………ひあっ!」
 前に工藤の指が絡むと、喚いていた良太の口から変な声が上がる。
 良太の耳朶からねっとりと嬲るように工藤の唇が移動すると、良太の身体がぞくぞくと波打った。
 さして時間もかけずに追い上げられて、良太はあえなく陥落した。
 放物線を描いてまるめられたティッシュが屑入れに放り込まれるのをぼんやり見ていた良太は、次には担ぎ上げられてゆらゆらとしたと思うや、ベッドに放り出された。
 バスローブを脱いで覆いかぶさってきた工藤に揺さぶられながら結局のところ縋ってその背中に腕を回しながら、三か月なんてやっぱ長すぎる、などと良太は思ってしまう。
「それで何を沢村は悩んでるんだ? 前からMLBに行くって喚いてたじゃないか」
 バスローブを肩に引っ掛けて酒を取りに行った工藤はグラスを良太にも渡しながら言った。
「え………、それは………」
 良太は受けとった酒をこくりと飲む。
「MLBに行くとか言ったら、佐々木さんが別れるって言いだすに違いないって」
 迷いながらも良太は口にした。
「は? 何で別れるんだ? 沢村はニューヨークにビルを持ってるって言ってたな? ニューヨークなんか佐々木さんだってちょくちょく仕事でも行ってるだろうが」
 事もなさげに工藤は言った。
「それは……そうだけど、でも二年は帰れないって、ブルックス監督と星川監督の間で密約みたいな? 二年の契約期間が終わったら、タイガースに戻るってことにはなったらしいけど」
 ったく、このオヤジには恋愛の機微とか、不安な思いとかなんかてんでわかりゃしないんだからな。
 良太はムッとしながらそんなことを思う。

 


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