目の色が違うだけで、雰囲気までがクールに見えてしまう。
女の子たちが手のひらを返したように、七海がカッコよくなった、と騒いでいた。
ふん、何を言ってるんだ、あいつのカッコよさはそんな、外見だけじゃないんだ。
俺は知ってるんだからな。
トカゲを踏みそうになって、自分の方が転んだ七海も。
毎日飽きもせずに弁当を作ってきてくれた七海も。
それから志央に降るほどの星空を見せてくれた。
ふいに七海の熱っぽいキスが蘇り、志央は体を震わせる。
だけどもうあの笑顔は俺のものじゃない……
小学生の時の友人の裏切りがトラウマで、と言っていた。
そんな七海のことを知っていながら志央はしてはいけない裏切りをした。
当然の報いだ………。
志央の心のうちなどおかまいなく、創立記念日はすぐにやってきた。
そしてつつがなくというわけにいかずハプニングが続出した。
フランスにある姉妹校の理事長や隆雲大学医学部学長のドイツ人教授を迎えた式典で、女生徒が贈呈する予定の花束が当日の朝届いたのだが、いつの間にかぐちゃぐちゃになっていると志央に報せが入った。
花束が置いてあった体育館の控え室には、誰でも入ろうと思えば入ることができる。
明らかに誰かが故意にやったことだ。
すぐに街の花屋に手配してそれは事なきを得たのだが。
「岡野さおりが休み? どういうことです、それ」
あたふた駆けつけてきた岡野の担任を前に、志央はつい声を上げる。
校内で音大を目指している生徒三人が演奏を予定していた。
バイオリン一人、ピアノ二人。
そのうち最後にピアノ演奏を予定していた女生徒が、駅の階段で怪我をして病院にいるらしいと、演奏直前に判明した。
しかも誰かに背中を押されたと本人から担任へ連絡が入ったのだ。
「クッソ、絶対やつらがやったに違いない。ここまで来ると犯罪も、殺人未遂だぞ!」
幸也が舌打ちする。
控え室に、花束を取り巻いて四人が緊急に集まっていた。
「堺が襲われた件から、敵は生徒会にターゲットを移してきたのでは、と用心していたんですが」
西本も悔しそうに頷く。
「やっぱり幸也の面が割れたな」
大山も忌々しげに呟く。
「昨日入った情報で気になることが……」
西本がおもむろにネタ帖でもある自分の携帯を取り出し、集めた情報を画面に開いていく。
「近藤の入院先の病院に現れたといううちの制服の生徒が、あの三人組と、それに人相風体からラグビー部の桜庭ではないかと……」
「何で桜庭が?」
驚いて志央は聞き返す。
「しかも、病院前から彼らが乗り込んだセダンにもう一人、運転手のほかに長身のガクランが乗っていたらしいんですが、それ以上は特定できなくて」
「クッソー!」
幸也が地団太を踏むように言い放つ。
控え室を出ると、岡野さゆりのクラス担任は青い顔でうろたえていた。
プログラムはもう既にバイオリンの演奏に入っている。
「どーすんだよ、代わり探すったって……」
志央は用意されたプログラムを睨みつけながらさすがに思案に暮れた。
「そうだ、お前が弾けば? ピアノやってただろ?」
幸也が面倒臭そうに志央を促した。
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