笑顔をください33

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  ACT 4
 
 
 様々な問題を抱えたまま、二日後、陵雲学園では次期生徒会役員選挙が行われた。
 もともと今期生徒会に置いても、華やかな会長と副会長の傍らで際立って目立つというわけではないものの、二年生ではありながら例え相手が三年生であろうと言うべきことは言う、するべきことはするという真面目な存在感があった堺勝浩だが、創立祭の前あたりから七海とセットで一気に注目を浴びたこともあったのか、対抗出馬もなく、勝浩がすんなり次期生徒会長に決まった。
 さらに今期から二人制をとることになった副会長には、二期目の役員の松永と、現生徒会がかなり強引に七海に押しつけ、七海も了承した。
 ほかの役員は生徒会長の推薦によって決定することになっている。
 それから五日後には、生徒総会の日を迎えた。
 志央ら四人はここ数日桜庭の情報収集に奔走していたが、そちらは何の進展もなかった。
 午後の授業時間が当てられた生徒総会は講堂に全校生徒を集めて行われ、議題も尽きて閉会間際、志央がマイクの前に立った。
「先ごろ、学園内でイジメや暴力が横行しているという不穏な噂を聴いています。先生方も既にご存知と思われますが」
 閉会の挨拶と思いきや、いきなりの質問に教師たちはたじろぎ、講堂にざわめきが走る。
 志央からそんな発言があることを事前に知らされていない幸也や七海、勝浩も落ち着かない。
 勝浩の事件は、あの日騒ぎを聞いて駆けつけた教師たちも知っているはずだが、勝浩にさしたる怪我がなかったのをいいことに、掴まった一人の生徒を退学処分にすることが教員会議で内々に決まっただけで、以来教師側からは何の音沙汰もなかった。
 ともあれ桜庭が一週間以上たってもまだ姿を見せていないことは無視できない事実なのだ。
「もしそういう事実があり、被害者がいるとしたら、これ以上蓋をするわけにはいかないはずです。状況によっては我々生徒会は警察の手を借りることも辞さない所存です。生徒会ではある筋からブラックリストも手に入れています。だが確かな証拠はないし、全生徒の将来にも関わりある問題です。あくまでも噂であることを望んでいます」
 さらにざわつきが広まる中、議長の閉会、の声が響き渡った。
「おい、志央、何であんな、テキを挑発するようなことを言ったんだ?」
 生徒会室に戻るなり、幸也が志央を問い詰める。
「るさいな、ちょっとした脅しだ。今しがた、教員どもからもいろいろつつかれて、適当な言い訳に閉口してたんだ」
 志央はしれっと答える。
「だけど、そいつらを煽って、志央さんに危害が及ぶかもしれないじゃないですか!?」
 珍しく生徒会室にまで入ってきた七海までが志央につっかかる。
「お前は俺のことより、大事な堺の心配でもしとけよ。次期副会長」
 志央は鼻で笑う。
「さあーて帰るか。面倒くさい生徒会長の任務も明日で終わりだし、六月からは思い切り羽が伸ばせるな、幸也」
「まあな」
 幸也は自分のカバンを抱え、志央のカバンを差し出す。
「賭けるか? 幸也、週末、ナンパした女の数でも」
「お前な……」
 七海を前に露悪的ですらある志央の発言に、幸也も言葉を途切らせる。
「俺が勝ったら、ヘネシー一本、親父さんとこからくすねてこいよ?」
「おい、志央……」
「堺、鍵、頼むぜ」
 そんなことをこれみよがしに口にしながら、志央は幸也を従えて生徒会室を出て行った。

 


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