デジャビュ?12(ラスト)

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「明日は早うから、おかんのてったいで忙しいんや。初詣どこ行くんや?」
 これだから、裏木戸のことは教えてなかったのに。
 ただ、だからといって昨夜はしっかり眠ったしすぐに寝る気にもなれないでいたし、一人で年越しも何となく寂しいと思っていた佐々木ではある。
「おい、ここは神社やないやろ?」
 沢村が車を停めたのは神社どころか、都内にある沢村が定宿としているホテルの駐車場だ。
「だって、明日忙しいってあんたが言うから」
「はあ?」
 呆れながらも沢村の手から逃れなかったのは、佐々木も自分でよくわかっていた。
 部屋のドアが閉まるなり、佐々木をドアに押し付けて沢村はキスを浴びせる。
「佐々木さんが足りなくて死にそう……」
 力の差はわかっているつもりだが、こういう時の沢村は火事場の何とやらと同様、佐々木をベッドに押し倒してがっちり逃がさない。
「ここまで我慢できたの褒めてもらいたいくらい……」
「アホッ! こらっ!」
 背中を小突こうが胸を小突こうがびくともしない、一回りただ大きいだけではない、頑丈な筋肉でできているこの男はただもう佐々木とやること以外頭の中から一切合切消えている。
「……これからあんまり動かないでくれます?……傷つけたくないんで………」
 それだけ口にすると、初詣なら寒そうだから暖かくしないとと々木が被ってきたセーターもパンツも剥いで、佐々木の両膝をぐいぐい折り曲げて、沢村はひたすら佐々木の中へと押し入った。
 口づけられながら揺さぶられて、佐々木の頭の中からも既に明日の準備だの何だのはもうとっくに吹っ飛び、勝手に唇から零れる喘ぎをとめることもできず、沢村に与えられる愉悦をただ甘受するばかりだった。

 
 

「明けましておめでとうございます」
 年明け早々、佐々木家の母屋の玄関に立つ大きな男に目いっぱいの挨拶をされた淑子はさほど驚きもせず、おめでとうございます、と横に並ぶ佐々木に説明せよとを視線を移した。
「明日からの大和屋さんのイベントには私も関わっておりますし、設営が大変そうですので手伝いに参りました」
 佐々木が何と説明しようかと迷っているうちに、沢村は勝手に申し出た。
「おや、そうですの。ほな、よろしゅう頼みます」
 佐々木の弁明を待つこともせず、淑子はキッチンに向い、仲田さんに沢村の分も雑煮を用意するように言っている。
「何のつもりや? お前はショーに出るだけやで?」
「それまでは空いてますから、何でもお手伝いしますよ」
 結局初詣どころか定宿のホテルから出ることもせず、だとか何とか、ベッドの中でうだついて、元旦の朝、八時までに沢村は佐々木をようやく送り届けたのだ。
 はあ、と大きな溜息をつきつつも、こうなったら沢村に何もかもやらせてやるわ、と心の中で佐々木は呟いた。
「ご用意できました。どうぞいらしてください」
 仲田さんが玄関に突っ立っている二人を呼びに来た。
 三十年以上このうちで生きてきた佐々木だが、こんなおかしな年明けは初めてだ。
 にこにこと家に上がる沢村の横顔を見ると、佐々木は我知らず苦笑を浮かべていた。
 
- おわり  -
 


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