花びらながれ9

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 有吉を信じないわけではないが、もし何かあったら、番組に大いに差しさわりがあることになる。
 とにかく真犯人がいるなら早いとこ捕まえてほしい。
「ちょっと、良太、何? せっかくオフにはさ、温泉とか行きたいって思ってたのに」
 ドアが開いたと思ったら、文句と一緒にアスカと秋山が入ってきた。
「ほんとにすみません、実は坂口さんから連絡があって、竹野紗英がヒロインに決まった途端、勝俣律子と斎藤美弥の事務所から降りるって言ってきたらしいんです」
 頭を切り替えて、良太はアスカたちを出迎えた。
「竹野? そりゃ、わからないでもないわね」
 口を尖らせながら、アスカはソファに座ると脚を組んだ。
「竹野なんかと一緒にやりたいなんて誰が思う? だいたい、何で竹野なんか使うかな。いくら実力はあったってさ」
 アスカの言葉からすると、やはり竹野は業界では相当嫌なイメージをもたれているらしい。
「設定が十八歳の女子高生からですからね、ちょっと君には難しいだろう」
 秋山が口を挟む。
「わかってるわよ。どうせ、年齢的に可能だったとしても毒を吐くぞって顔の私じゃダメだっていうんでしょ? 竹野みたい、清純そうで実は毒吐きますみたいなんじゃないと」
「アスカさん、すんごい洞察力」
 良太が思わず口にすると、「何よ、ちょっとは否定したどうなのよ」とアスカは食って掛かる。
「とにかく、アスカさん、やるのか、やらないのか? スケジュール調整の関係があるから早いとこ結論出してもらわないと」
 秋山が冷静にアスカを諭す。
「わかったわよ、良太の頼みじゃね、工藤さんだったらもうひとひねりしないとだけどさ。けど、なあに、ひとみさんの同僚って、せめて後輩にしてよね」
「そこは坂口さんに頼んでみます。ありがとうございます」
 良太はほっとしてアスカに頭を下げた。
「やあね、仰々しいことしないでよ、良太ったら」
 いや、一つでも難題が片付いたことには感謝の言葉しかない。
 アスカたちが帰ってから谷川と一緒にやってきた奈々の方は、すぐにいいよとOKが出た。
 奈々の方は竹野の同級生という役だから、竹野に絡むことが多々あるかも知れない。
「うん、まあ、大丈夫だよ」
 デビューした当初は何かあるとピーピー泣いていた奈々だが、今までもドラマなどで共演した女優たちに結構意地悪をされた経験がある奈々は、のんびりマイペースで歩く術を身に着けたらしい。
 アスカとは別の意味で打たれ強くなった。
 よかった、これで難題が二つ解決した。
 ほっとした良太だが、有吉の件は依然動きはなかった。
 次から次へと湧いてくる厄介ごとに頭を抱えている良太の前に、またしても新たな厄介ごとが現れたのは翌日の夕方、鈴木さんも帰った後でアスカらと別件のCM撮影の件で打ち合わせをしていた時のことだった。

 


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