ACT 2
急を要するとはいえ制作サイドなら今までの経験上何とかなるのだが、良太には今すぐにキャスティングができるようなデータがどうしても不足していた。
もっとタレントについて情報収集する必要はあると反省はしたものの、それらを鑑みれば、この際自ずと答えは出てくるというものだ。
坂口さんも、事務所の二人はどうかなんて言ってたし。
「あ、秋山さん、今大丈夫ですか? 実は………」
青山プロダクション所属女優、中川アスカのマネージャー秋山と南澤奈々のマネージャー谷川にそれぞれ連絡を取り、事情を話して、良太は空いている時間にオフィスに来てほしい旨を伝えた。
二人のスケジュールは既に確認してある。
何とかこっちのドラマのスケジュールを組み込むことはできるとは思うのだが、あとは二人の女優の出方次第だ。
特に竹野ほどではないにしても、同じ会社でなければ、あまり関わり合いにはなりたくないだろうアスカのご機嫌が一番問題だった。
と、その時携帯が鳴った。
「あ、ヤギさん、お疲れ様です。何か………え………」
下柳の話は寝耳に水だった。
有吉がちょっとやばい、という。
やばいその内容は、言葉以上のもので、有吉がある事件絡みで警察に事情聴取され、さらには容疑者として拘留されたと言うのである。
事件のあらましはこうだった。
NTVテレビのADが新宿にある雑居ビル五階の非常階段から落下して死亡した。
警察は事故と事件の両方から捜査していたが、争った形跡がある上、死亡したAD島岡と一緒にいた男を見かけたという目撃証言があり、特徴的な人相風体から有吉が浮上、有吉の写真を見せると確かに有吉に違いないと証言したという。
さらに階段の踊り場に落ちていた煙草の吸殻がDNA鑑定から有吉のものとわかった。
有吉は容疑を否認しているが、その時刻のアリバイがなかった。
有吉の供述によると、すごいネタを掴んでいるという匿名の電話で渋谷に呼び出されたが、十分待っても来ないのでガセだと判断し、渋谷で飲んで帰ったというのだが、島岡の死亡推定時刻に有吉を見たという者がなかった。
実はその呼び出しは二度目で、一度目は昨日で三十分待ったのだがやはり来なかったのだと有吉は言っているらしい。
警察が事件性を疑う理由は、島岡がドラッグの売人をやっていたという事実を掴んでいたからだ。
良太の機転で、すぐに小田弁護士に依頼して有吉のことを頼んだのだが、やはりすぐには釈放してもらえないらしかった。
良太は頭を抱えた。
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