クリスマスの空13(ラスト)

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「コーヒー、飲むか」
 佑人がバスルームを出ると、既に散歩から戻っていた力が声をかけた。
「……うん」
 顔を合わせることはできずに、佑人は返事をする。
 ったく、何事もなかったような顔しやがって……
「あ、でも、もう帰らないと……夕べ、帰らなかったって兄さんにバレる前に」
「いいじゃん、まんま話せば」
「……わけ、ないだろ……!」
 思わず顔を上げるが、力の視線に出くわしてすぐに逸らす。
「ここに置くぜ」
 香ばしいコーヒーの香りが辺りに漂う。
 ソファに座ってコーヒーに手を伸ばそうとすると、その横に力が来て座る。
 今さらながらに佑人の心臓が跳ね上がる。
 ひと口コーヒーを飲んだ佑人は、何となくいたたまれなくなる。
「俺、帰るよ」
 だが立ち上がろうとした佑人は背後から抱きすくめられる。
「待てよ……送ってくから」
「いい……」
 伏し目がちに言う佑人はまだまともに力を見ることができない。
「やっぱ、怒ってんのか?」
「え?」
「合意じゃなかったよな。最低だな、お前、いやだって言ってんのに、俺、止まらなくて」
「違うってば!」
 力が何が言いたいかわかって、咄嗟に佑人は力の顔を見て否定した。
「ちょっと、いきなり、だったから……いやって、言ったかもだけど、いや、じゃなかった。ただ、俺、ああいうの、慣れてないだけだからっ!」
 精一杯喚いた佑人は、すぐ引き寄せられて唇を塞がれた。
「お前って……やっぱ、可愛いな……」
 指で佑人の前髪に触れながらまともに見つめる力に、佑人はカッと熱くなる。
「な……に言ってんだよ!」
「そうだ、これ」
 シャランと音がして力がポケットから取り出したのは銀細工のキーリングだった。
「やる」
 力は佑人の手を掴んでキーリングを握らせる。
「俺の部屋の鍵、ちゃんと持ってろよ」
 佑人の心は飛び上がりっぱなしだった。
 まさかそんなものをもらえるとは思っていなかった。
「あ、そういえば、俺もあげるものがあったんだ」
 佑人ははたと思い出し、ソファの背もたれに引っかかっているコートのポケットからラッピングした袋を取り出した。
「俺に?」
 ちょっと感激ムードの声で力は言った。
「何だよ、これ」
 だが、袋を開けた途端、力は不機嫌な顔に変わる。
「タローの首輪。かっこいいだろ?」
「だから、俺はお前にプレゼントやったのに、何でお前は俺にじゃなくタローになんだよ」
「いいじゃん。タロー、喜ぶよ、きっと」
 すると力はふっと笑う。
 そして再び佑人に唇を寄せる。
 佑人はようやく力の肩に腕を回し、二人は甘く蕩けそうな口づけをかわした。

 


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