「でもそういえば綾小路さんとこの新年会って、前に行ったことあるけど、一族だけじゃないだろ? 招待客、取引先のトップとか」
良太が思い出したように言った。
「うん、うちはおじいちゃんが京助のお父さんと子供の時からの付き合いで、家族ぐるみでよく遊びに行ってた。紫紀さんは優しいけど、京助とは顔合わせればケンカでさ」
「いや、だから、そんな取引先とかのいるところでさ、京助さんは言ってすっきりしたかもしれないけど」
良太は沢村のこともからめて現実問題としてそれを心配して言った。
「今更あの傲慢な京助が何を言ったって驚かないわよ、それに最近、態度あからさまだから何事もなかったように終わったわ。当のユキだってとうとう言ったか、くらい」
サバサバとアスカはのたまった。
「まあ、東洋グループ、綾小路一族は今や盤石の布陣だし、取引先も下手に吹聴して関係が危うくなるような真似はしたくないってところでしょう。でなくても京助さんも千雪さんもちょっとやそっとのことではゆるがないが、ご家族はあまり沢村さんに対して好意的ではないようだし、もう少しうまく立ち回った方がいいかもしれませんね」
沢村は秋山の言葉に頷かざるを得なかった。
綾小路京助は大学の法医学教室准教授、小林千雪といえば大学の法学部助教かつミステリー小説のベストセラー作家として知られている。
性格は違うが二人して、我が道を行く、なところは、ある意味出会うべきして出会ったと言っても過言ではないかも知れない。
「クールとか言われちゃってるけど、ほんとはカーっとなって突っ走って後で泣きつくんだからな」
良太が沢村を見ながら口を挟む。
「うっせーよ!」
怒鳴り返したものの、ここのところ何かあると良太に泣きついているのは確かだ。
綾小路京助の旁若無人さには及ばないってことだ。
沢村は苦々しい顔で口を噤む。
「そういえばさ、また大和屋のイベントやるんだよね? 沢村っちも出るの? また佐々木ちゃん頼まれたんでしょ?」
「いや、来年はまた違う趣向でやるみたいだ。映像中心で」
沢村に代わって良太がアスカに答えた。
「何だ、そうなの。私も出たかったんだけど、奈々とか小笠原とか出るのにさ」
「アスカさん、ドラマ忙しいし、年末からスイスでしょ」
「お茶会もやらないの?」
「いや、今度は初釜として一日だけだけど、小夜子さんに頼まれたって佐々木さん言ってた」
アスカの問いには沢村が答えた。
昨日そんな話をしたばかりだ。
「悪いけど、佐々木さんには小田先生に相談したこととか、黙っててもらえないか? ほとぼりが冷めるまで」
続けて沢村は言ったが、一体いつまでになるのかと、今更ながらに父親を呪う。
「仕方ないな、それで、ちゃんと佐々木さんに会ってスクープのことちゃんと話したのか?」
「まだ会えてないんだよ! 佐々木さんニューヨークから帰ったばっかだし、忙しそうで」
心配そうに聞く良太に沢村は突っかかる。
「そうなんだよ、佐々木さんも俺も、今、いっそがしいの! ったく面倒おこすやつバッカで!」
今度は良太が声を大にして文句を言った。
「ああ、あの水波おバカ清太郎でしょ、全く、あいつのお陰であたしもドラマ、撮り直しなんだよ!」
アスカも強い口調で言い放つ。
「水波清太郎って、覚せい剤で捕まったって俳優だろ? 何で佐々木さんが関係あるんだよ!」
沢村にとっては初めて聞く話題だった。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
