たまにはクリスマスを8

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 各部屋もリノベーションを施して、使い勝手がよく、企業の福利厚生施設にしては大盤振る舞いだ。
 あの年代物の大きな屋敷はまだ探検しきれていないところがあるし、千雪は嫌いではないが、京助の言うように、ホテルならまだしも知らない人間と一緒に過ごすのはごめんこうむりたい。
 軽く腹ごしらえを済ませると、二人はシルビーと一緒に部屋を出た。
 コンパクトSUVとはいえ、GLBは七人は乗れる。
 結構荷物を積み込んでも、スキー用具はルーフボックス、二人と一匹ならゆったり感覚だ。
 関越に乗った辺りまでは覚えていたが、いつの間にか寝込んでしまっていた千雪は、着いたぞ、という京助の声に起こされた。
「え、もう? 運転途中で変わろう思うとったのに」
 あたりは真っ暗だが、雪のお蔭でぼんやりと大きなロッジが闇の中に浮かびあがっていた。
 LEDのガーデンライトで玄関はすぐにわかった。
 ロッジの周りを白樺林が取り囲み、辺りにはほかに建物は見当たらない。
「ロッジ? まさか買うたんやないやろな?」
 レンタルしたのかと聞こうとして、この京助のやることだと千雪はすぐに思い直した。
「オーナーが高齢でペンションやめたんだと。ちょうど隠れ家によさそうだったからな」
 やはり、と千雪は頷いた。
「オートロックに変えたし、中もリノベしてある」
 京助がドアを開けた途端、明かりがついた。
「うわ!」
 思わず千雪が声を上げたのは、どこかヨーロッパのクリスマスがそのまま部屋の中に広がっていたからだ。
 大きなクリスマスツリーはもみの木で、シャンパンゴールドに統一されたイルミネーションが輝いている。
 そういえばドアにはリースがかかっていた。
 京助が暖炉に薪を放り込んで火をつけると、本物のクリスマスが出来上がった。
 エアコンだけではやはり寒い。
「どないしたん? これ」
「業者にクリスマス仕様にしといてくれって頼んだんだが、これじゃ、ホームアローンだな」
 京助にしてみたら、ここまで大仰なクリスマスの飾りつけになっているとは思わなかった。
「ええやん、俺、すきやで。子供に戻ったみたいな雰囲気や」
 千雪は目を輝かせて、微笑んだ。

 


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