Winter Time30

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「お待たせしましたぁ」
 そこへやってきたのは、一見ゴスロリ風ビスクドールのような、髪の色も雰囲気も明るい女の子だった。
「ああ! 中川アスカと一緒に出てる人だぁ!」
 入ってくるなり、良太を見て声を上げる。
「池山直子、で~す! よろしくぅ!」
「あ、ども…、広瀬です」
 有無を言わせぬ物言いに、思わず良太はたじろぐ。
「直ちゃん、いきなりそんなこと言うから、良太ちゃん驚いてるだろ。佐々木さんの会社の子なんだ。心配ないからね、良太ちゃん」
 藤堂が軽く直子を嗜めると、直子が胸の前で両手を合わせた。
「ごめん、藤堂ちゃん、保奈美も美紀ちゃんも、今日は彼氏と約束あるんだって」
「いいよいいよ、君は今夜は大丈夫?」
「直は今んとこフリーだもん」
 のほほん、とのたまう直子は、彼氏がいないのが不思議なくらいかなり可愛い系だ。
 やがて、アスカともうひとり、モデルらしい背の高い女の子を連れて秋山がやってきた。
「お待たせ、良太。あ、この子マヤ」
「広瀬です」
「マヤです。よろしく」
 ショートヘアのマヤはアスカの元モデル仲間でスペイン人とのハーフだと言う。
 ヒールを履いているので良太とさほど目線が変らない。
 ひととおり、皆が紹介しあうと、直子が言った。
「あ、早く行ったげないと、コースケちゃん、ひとりでてんてこまいしてるんじゃない?」
「ほな、行こか」
 佐々木がようやく腰を上げる。
「早く、行くわよ、良太ちゃんも」
「は、はい、じゃ、藤堂さん、お先に」
 初対面で直子に早速良太ちゃん呼ばわりされ、しかも佐々木の愛車というボルボに乗せられて面食らうが、車の中ではもう、直子の人懐こいその雰囲気に馴染んでしまった。
「佐々木ちゃん、河崎さん、沖縄からまだ帰ってないのぉ?」
「らしいね、パーティに間に合うんか?」
 ハンドルを切る佐々木が聞き返す。
「よく仕事一緒にしますけど、河崎さんて、何か、怖いですよね~」
「虚勢張ってるだけやないのんか?」
 良太が率直な感想を口にすると、佐々木は河崎のことを茶化して笑う。
 到着したのは、麻布にある見るからに億ションだった。
 佐々木はエントランスに立っているガードマンに挨拶すると、ボードで部屋番号を押した。
「はい、どうぞ、お入りください」
 浩輔らしい声が返ってくると、皆を先に中に通してから最後に佐々木が中に入った。
「すんごいとこ、住んでるな、河崎さん」
 ボソリ、と良太が口にすると、「御曹司だもんね~」と直子。
 直通エレベーターで一行がやってきたのは、表札のないドアの前だ。
 佐々木がドアフォンを押すと、出迎えた浩輔はエプロン姿で、ちょうどクリスマスツリーの飾り付けに四苦八苦していた。
 外国映画に出てくるような本物のもみの木のクリスマスツリー、部屋中にクリスマスアイテムが飾られている。
 何十畳あるのかというリビングルーム、高い天井。
 どっしりとしたヨーロッパ調の家具。
 工藤の部屋もかなり広いと思った良太だが、河崎のこの部屋はさらにすごい。
 大きなテーブルに並べられていたのは、ケータリングだというが、クリスマスの贅沢なご馳走たちだ。

 


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