そうやってじわじわと豪を脅しておたおたさせている松田と朔也は元気の高校の先輩になる。
さらに松田はサッカー部の主将で、元気は部のアイドル的存在だったし、学園祭ともなると既にこの界隈では名の知れたギタリストだった元気が所属するバンドのライブには、近郊の中学高校はもとよりファンが押し寄せたのだと、豪は伽藍の常連で元気のクラスメイトだった東からも情報を得た。
その後同じテーブルに座った豪と東は、ヨーロッパを歩いた話で盛り上がり、隣のテーブルでは、朝から仕込みやらライブの準備やらで疲れて、とっとと帰って寝ようと思っていた元気はげんなりと頬杖をついていた。
「元気、グラスが減ってないわよ」
もともと酒豪の涼子が持参したヘネシーのボトルからとくとくと元気のグラスに酒を注ぐ。
「おい、ちょ……」
止める間もなく濃い酒のグラスを持たされた元気の前にはあっちからこっちからワインやらウイスキーやらのグラスが置かれたが、本人は少し口をつけたくらいで、そのうちうつらうつらし始め、やがてテーブルの上に突っ伏して寝てしまった。
豪がジャケットを持ってきて元気にかけてやった頃、外はホワイトクリスマスというより大雪になりそうな気配を見せていた。
何がどうよかったのかは不明だっが、珍しく一平は松田とウマが合ったらしく、酒を酌み交わし、朔也もいつの間にか一緒になって笑っている。
朝倉や山崎、それに秀喜らは涼子やみっちゃんらGENKIのメンバーとケラケラ笑いながら飲んでいる。
「GENKIに川口朔也だぁ? どうなってんだ? 何でこんなかた田舎の茶店のくせに、業界人間の人口密度がこんなに高いんだ~」
一杯機嫌の東がぶつぶつと呟いていたのは言うまでもない。
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