今日こそきっちり言った、と勝浩はきりりと唇を結ぶ。
「いやあ、だってほら、もうすぐバレンタインだし、俺たちがいないと困る女の子たちが大勢いるし」
幸也の言葉に、どうせそんなことだろうと、勝浩は心底あきれ返る。
この二人はその程度のことしか考えない連中だ。
「でも、顔、真っ赤にして、そうやって一生懸命がんばる勝浩くんも、また可愛いから、ついここに来ちゃうんだよな」
「幸也、いくらほんとのこととはいえ、それは勝浩会長の前では禁句だって」
これっぽっちも勝浩の言葉など意に介さない二人は、のらりくらりとまた失礼なことを平気で口にする。
幸也と志央は幼な馴染みで、ずっと二人つるんでいろいろと悪さをしてきた仲だった。
だが、いつの頃からか幸也が志央を恋するようになっていたその想いを志央は気づいていなかった。
ところが、去年の春、学園に現れた七海に唐突に志央を取られ、というより志央に振られて、一時、幸也はひどく落ち込んだようだ。
そのあたりの事実関係は当事者や周りにいる者しか知らないことだ。
幸也と志央はもう絶交状態か、と思いきや、幸也はいつの間にかパワーアップして舞い戻り、二人を茶化して邪魔をすることに意義を見出したらしい。
そこでついでに彼のからかいの対象となっているのが勝浩なのだ。
生徒会長としての威厳も、この海千山千の二人の前では通用しないようだ。
勝浩としては、幸也の言うことなど聞かない振りを決め込むことにしているのだが、どうにも我慢がならない時には、爆発する。
「いい加減にしてください! ここは神聖な生徒会室です。いちゃいちゃは外でやってください!」
「わ、悪い、勝浩」
七海は慌てて頭を掻く。
「は、すみません~ 会長」
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