翌日もパソコンの前に座って書類作成やメールチェックをする以外、良太はあちこち飛び回って終った。
九時を過ぎて、オフィスに鍵をかけ、良太はエレベーターで自分の住居である七階へと向う。
部屋のドアを開けると、三毛猫のナータンが鳴きながら飛んできた。
「おーい、ナータン、ただいま~」
ドライフードを用意すると、ナータンははぐはぐと勢いよく食べ始める。
飲み水を替え、トイレをきれいにしてやってから、良太はスーツを脱いでハンガーにかけると、バスルームに飛び込んだ。
ざっとシャワーを浴びて、スウェットのズボンだけはくと、タオルを首から引っ掛けたまま冷蔵庫から缶ビールを出してプルトップを引く。
一気に半分ほど飲み干して良太はフーっと息をついた。
疲労感でぼーっとしたまま、明日は工藤さん帰ってくるんだ~、なんて思いながら、冬は炬燵になるテーブルの傍に座り込み、ベッドにもたれかかった。
どのくらい時間が経ったか、やがて夢現つの狭間に、携帯が鳴り響いた。
良太が電話に出るなり、いきなり「良太、工藤さん、帰ってきたか?」と怒鳴るようなこえがした。
青山プロダクションの嘱託カメラマン、井上俊一だった。
「いや、明日の午後だけど、何かあったのか?」
嫌な予感が良太を襲う。
「あったかじゃねーよ、ニュース見ろよ、ニュース!」
怒鳴りつけられた良太は慌ててテレビをつけた。
ドラマには何やらテロップが流れていた。
チャンネルをニュースに合わせると、どこかのビル街の火災が映し出されている。
「…何だ? ……これ……」
「ニューヨークだよ! テロだ。また自爆テロかなんか、マンハッタンがやられたんだ! 工藤、ニューヨークって言ってなかったか?」
え…………!
混乱している良太の頭の中で激しく警鐘が鳴り響く。
かつて人類史上最悪のテロといわれたアメリカ同時多発テロ「9.11」以来、入念なテロ対策が取られているはずだが、対策の網をかいくぐるようにこうして世界各国でテロ事件が後を絶たない。
画面上で、パークアベニューに林立するビル群の下層階が無残な有様をさらし、何台もの消防車やパトカーがビルを取り囲み、空にはヘリコプターが飛んでいる。
しばし口を閉じるのも忘れて画面を凝視していた良太は、はたと我に返り、まだ何か言っている携帯を切ると、工藤の番号を呼び出した。
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