Moon Light6

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 工藤から千雪とこの京助が付き合っていると聞いた時は良太も驚いた。
 だがこの際、良太は工藤とのことで千雪を妬いたことも京助が嫌味なやつだということも、そんなことはどうでもよかった。
 りりりりり―――――――――
「青山プロダクション!」
 良太が手を伸ばした時には、京助が勝手に受話器を取っていた。
「ふん、千雪が心配してきてるんだよ。あんたがお陀仏になったんじゃないかって、みんな雁首揃えてここにいるぜ」
 京助のセリフに一斉にみんなが立ち上がる。
「工藤さん! 大丈夫ですか!?」
 良太は京助から受話器を引っ手繰るようにして声を上げた。
 
 
   
 
 工藤がニューヨークに足止めをくらっている間にもドラマの撮影が進行していた。
 良太は工藤に指示された通り、アスカが出演する予定の映画製作会議に工藤代理で出席したり、ドラマの撮影に立会うことにもなっていて、とにかく工藤がいない間、やることは山ほどあった。
「はい、鴻池さんにはちゃんとご説明してあります。はい、わかりました」
 工藤の帰国は未定だった。
 テロに巻き込まれて怪我をした佐古に付き添っているという。
 さらに、持っていた携帯を無くして、連絡が取れなかったらしい。
 それにはほっと胸を撫でおろした良太だが、工藤はそれ以上詳しいことは聞かせてくれない。
 工藤には怪我はないというが、いつかバットで襲われた時も、たいしたことはないと言った工藤のことだ。
 良太は心配で仕方ない。
「ほんとに、大丈夫なんですよね?」
 すると電話の向こうで工藤が笑う。
「何かあったら、こんな電話なんかできるはずないだろう。とにかく留守のことはお前に任せたぞ」
「はい、ご心配なく!」
 工藤は良太の返事が終わるか終わらないかに携帯を切った。
 良太が携帯から顔をあげると、いつの間にか谷川が戻ってきていた。
「お疲れ様です。奈々ちゃん、ドラマの方一段落つきましたか」
「ああ。良太、それよりこれ、見てみろ」
 何だろう、と良太は谷川が持ってきた週刊誌を受け取って、谷川が開いていたページを見る。
「何だよ、これ!!」
 鴻池物産のCMに自分の会社の俳優を使うために、工藤が長田プロの俳優を降ろした、などという、また根も葉もない中傷記事だ。
 ネットで検索すると、良太たちがニューヨークの工藤のことで右往左往している間にも、似たような記事がいくつか見られた。
 良太は思わずカッときて、受話器を取った。
「週間情報さんですか? デスクお願いします。青山プロダクションの広瀬と申しますが」
「ああ、デスクはいませんよ」
 相手はバカにしたような口調で返す。
「根も葉もない記事しか、書けないんですか? 一体どういう証拠があって、あんな記事!」
 だが、一応裏を取ってあるというのだ。
 しかもニュースソースは言えないの一点張りだ。

 


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