良太が体育会系でしたなんて口にするのも恥ずかしいくらい、工藤の体は鍛えられている。
ま、おっさんだからな! 鍛えねえと。
「へえ、よく知ってんじゃん」
小笠原に言われて良太はぐっと答えに詰まる。
どうやら社内でも、工藤の高輪のマンションに出入りしたことがあるのは、良太か平造だけのようだ。
あ、千雪さんもいたっけ。
以前。
千雪はそう言ったけれど。
「プールかあ、いい感じ?」
結構走った小笠原はタオルで汗を拭う。
「スポーツクラブが入ってて、その屋上にあるんだよ。あそこの住人は特権でプール使えるんだ。天井がガラス張りでさ、夜とか人が少いとプラネタリウムの下で泳ぐみたいだった」
「へえ~、秘書ならプールも使わせてくれるんだ?」
あのプールならいつでも行ってみたいと思わせる、ゴージャス感があったな、などと思いながらつい口を滑らせた良太は、はたとやばい、と思う。
「まあ、ほら、俺、貧乏暮らししてただろ? それで連れてってくれてさ、工藤………」
しどろもどろの受け答えをして、「そろそろ戻らなけりゃ」と良太はマシンを止めた。
「もうすぐ鈴木さんもくるから、シャワー浴びたら俺、オフィス行くけど、お前、まだ使いたきゃ、出るとき、俺か鈴木さんに言ってくれれば」
知らないやつにわざわざ教えることもないしな。
工藤とのことを。
小笠原を残してトレーニングルームを出た良太は、小笠原がそれを知ったらどう思うだろう、と考える。
はたからみたら普通じゃないだろうし。
「それにどうせ俺の一人相撲だよっ!」
やけくそ気味に呟いて、良太は階段を駆け上がった。
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