花を追い11

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 坂口は禁煙しようとしているらしく、むやみに電子タバコを噛む。
 よく共演×の俳優がいるとは聞くが、それにしてもこのドラマは出だしから前途多難すぎる。
 さらにクランクイン間近にしてこの体たらくだ。
 むしろ竹野を降ろした方がスムースに行くのでは、とは口から出かかるのを良太はかろうじて止めた。
「竹野降ろした方が早いってんだろ?」
 アームチェアをくるりと回転させて、坂口が良太に顔を向けた。
「え? いや、あの」
 今しがた考えていたことを言い当てられて、焦って良太は口ごもる。
「まあな、俺もそれが一番いいと思うぜ? ま、彼女の代わりにヒロインやってくれる子がいればの話だがよ~」
「はあ~」
 良太はがっくりした顔を隠すこともせず、苦笑いした。
「とにかく日下部のあとがま、どうすっかだな」
「早々に何人かリストアップして打診してみます」
「まあ、日下部はな、演技力ってぇより話題性があったからな、俺もやつを投入してどんな反応起きるか楽しみにしてたんだがな……」
 結構主役級の俳優が並んだこのドラマだが、昨今若者のテレビ離れもあり、どれだけ視聴率を取れるかは大きな課題で、人気のある日下部が入ることによって若い女性層にもアピールしようという目論見もあった。
 媒体がテレビだけだった時代とは違い、録画やインターネットなどで放送時間に関係なく見ることができるようになったが、視聴率という目に見えるデータはやはりスポンサーの動向を左右する。
 いい原作、いい脚本、いい役者陣を揃えてしっかり視聴率も取るようなドラマももちろんあるのだが、往々にして視聴率が下がった上がったと一喜一憂しているように思える。
 さらに世帯視聴率のみならず個人視聴率、さらにその世帯別等でのデータも重要視されるようになった。
 それより、外野の雑音に惑わされず質のいいドラマを作ればいいのになどと、良太は思うのだが、現実的には視聴率が下がれば打ち切られ、俳優たちがその責めを負わされるという風潮が蔓延している。
 しかもネットでは何かあれば叩く、炎上させる、どこかネガティブな空気に支配されていて、これでは制作側は恐る恐るでしか俳優を使うことができず、俳優の方も二の足を踏んでしまうだろう。
「何か、制作側は最近視聴率だなんだとそっちばかり気にし過ぎな気がします。ドラマも三十分番組とかで少しずつ復調の兆しが見えてますけど、質のいいものづくりがやっぱ大事なんじゃないですかね」
 つい思っていたことを口にした良太は、はっと我に返って坂口の目とあった。
「あ、すみません、俺の勝手な考えなんで」
「いやいや、いいぜー、良太ちゃん。さすがは工藤のヒゾッコだけある」
「いえ、まあ、最近SNSとか利用して視聴率上げたドラマもありましたっけ」
 それでも最近、SNSやネットを利用して視聴率をあげ、人気が右肩上がりとなって続編も期待されているドラマが出てきている。

 


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