他のメンバーはそんな二人を呆れて見るだけで、各々の役割をそれぞれよくわかっていたからライブ活動は充実していたといえる。
モラルや常識、そんな言葉とは全く無縁だった。
まさに怖いものなしの青春を謳歌していた。
ただ、その頃元気の中で密かに形を成していたある感情。
誰にも気づかれず、元気は一人その感情を持て余すようになっていた。
そして、時の流れはゆっくりと変化をもたらしていく。
「写真、撮らせてもらえないかな? ライブの」
だしぬけに、打ち上げの席で、この新顔の大柄な一年生が言った一言が、いずれ彼らの結束に亀裂をもたらすなどとは、その時誰が考えたろう。
「俺、カメラやってて、いずれはそっちの仕事したいと思って。ライブ見てたら、カッコいいし、すんげー躍動感ってか、ほんと、感激したから」
目を輝かせて訴える熱烈な嘆願に、元気はクスリと笑う。
「そりゃまた、熱狂賛辞のアメアラレ」
「俺らのライブを試験台にする気か、きさま」
くわえ煙草の一平だけは、面白くなさそうな声で言い放った。
「え……決してそんなつもりは……」
「豪は、カメラマンの蒲生健吾のアシスタントやってるのよ。蒲生さんが弟子なんかとらないっていうのを、何度もお願いして」
優花が横から助け舟を出した。
「とってもすてきな写真撮るんだから。動物とか風景とか」
そんな彼氏が優花はとても自慢らしい。
「なるほど、俺らは動物だしな」
「写真を俺らに提供してくれるかな」
皮肉る一平の言葉を遮るように、みっちゃんが言った。
「SNSとかにも載せてるけど、自分たちで撮ったやつで、どうしてもダサいんだよな」
「もちろん!」
その後、インディーズで『GENKI』の人気が急上昇したのは、確かにジャケットの写真も功を奏していたかも知れない。
気をよくしたメンバーと、豪はぐっと親しくなった。
もう一人のメンバーのように、ライブツアーにもしょっちゅうついて回った。
