「業界内のプロダクションがお前を探しているって噂があって」
「はあ?」
ますます話がこんがらがってくる。
新郎新婦までも興味深々で毛利と江川の話しに耳を傾けている。
「最近売り出し中の坂之上豪の作品展に、お前の写真、あっただろ?」
「豪の? ……ああ」
元気は写真集で見ただけで、まだ実物にお目にかかっていはいない。
それにしても何でこんなところで豪の名前を聞くことになるのか。
「あれが幻のギタリスト、元気と同一人物だという噂が流れて、そこに目をつけたいくつかのプロダクションが本人を探してるとか」
「冗談……」
笑い飛ばそうとした元気だが、「あそこにどう見たって堅気じゃねーオッサンいるだろ?」そう毛利に言われてチラリと指し示された方をみると、いかにも業界人という雰囲気の男が煌びやかなドレスの女たちと歓談している。
「あいつ、赤坂プロダクションって、人気タレント抱えてる事務所の社長だが、気をつけろよ、ずっとお前のことジロジロ見てたぜ」
「そういえば、俺も気になってたんだ。高いところからだとよく見えたから。元気の知り合いかと思ってたけど」
佐野までがそんなことを言い出し、元気はげんなりする。
「やめてくれ。バカバカしい」
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