どうやら石が引っ掛かってストッパーの役割をしていたらしい。
石畳を半分ほど歩いた時、スッと目の前に影が現れた。
「あなた、どういうつもり?」
日向野だった。
険しい眼差しで千雪を睨み付けている。
「は?」
千雪は、いったい何だ? と思う。
「男のくせにちょっときれいだと思って、京助さんと付き合うなんて、身の程知らずもいいところだわ!」
「はあ?」
一体今度はどういう難癖だと、千雪は呆れて日向野を見た。
「由緒正しい家柄も血筋も私の方がずっと上だわ。あなたになんか負けるはずがないもの」
千雪は思わずククッと笑ってしまった。
「何がおかしいのよ!」
「君、何が言いたいん?」
「とっとと京助さんから離れなさいよ! じゃなかったら、あなたなんか今後一切表舞台になんか出てこられなくしてやるわ! 伯父はT大の理事長なんだから! 第一、男同士とか知られたら、お兄様の紫紀さんと原さんのご婚約だってどうなるかわからないわよ!」
日向野は金切り声で叫んだ。
京助のヤツが話したんやろか?
日向野が誰に聞いたのかは疑問が残るが、どう考えても日向野は今いるメンバーからどう見ても外れているようにしかみえなかった。
そういえばアスカが日向野に言っていた、あなた場違い、とか。
アスカさんて案外、人を見る目があるのかも。
「あんな、人には由緒正しい血筋やら家柄の前にもっと重要なことがあるて知っとる? しかもその陳腐で幼稚なセリフ、どうにかならん? 俺の小説には絶対使わへんセリフやわ。しかも自己中で自己判断もでけんて、誰かと比べることかておこがわましいわな」
「な、によ、それ、このあたしに向って!」
「やから、このあたし、言うんが既に自己判断でけてない言うてるわけ。しかも夕べも言うたけど、差別発言多すぎやで? SNSにあがったらあっという間に炎上や。大臣が、オンナは何とか、言うただけで、要職を辞するこの時代やで?」
今度は日向野も言葉が見つからなかったようで口をパクパク言わせている。
「ああ、それに紫紀さんも小夜ねえも俺らのこと知ってるし。公言しそうな京助を辛うじて俺が止めてるくらいやから。まあ、結婚式はええとしても披露宴とか出なあかんのんがウンザリなんやけどな?」
日向野は今度は目を見開いた。
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