メリーゴーランド297

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「俺の診断はおいといて、千雪くんだ」
「いや、いくら差別はいけない、マイノリティも尊重しようなんぞといっても、この日本で、俺たち付き合ってます、男同士だけど、なんて軽く通用しないでしょう。加えて京助にあちこちから縁談やら何やらあったから、千雪くんは小夜子さんのことも考えて逃げ出したのかも知れない」
 ふうっと速水は大きく息を吐いた。
「克也、何だかまともなこと言うね」
「俺は人目も気にするゴクゴク一般常識人ですからね、あなたや京助みたく、我が道を行くみたいな生き方はできないんで」
 自虐的に、速水は断言した。
「でもさ、好きになったら、周りは関係ないだろ?」
「そうですね、俺はそうなってみないとわからないな」
 好きになったら、か。
 まさか、あいつも………?
 その時ふと速水は思いを巡らした。
 もし、研二の離婚の原因が千雪だったとしたら。
「千雪くん、今研二くんのところにいるようなんです」
「研二くん?」
 これは紫紀も意外だったようだ。
「実は千雪くんと研二くん、幼馴染で訳ありだったみたいで」
「え、そうなの? じゃ、研二くんが離婚して上京したのは千雪くんのためなわけ?」
「そう、かどうか本当のところはわからないですけど」
 紫紀は腕組みをして頷いた。
「しかし、もしそんなややこしいことになっているなら、京助には太刀打ちできないかもね」
「そんな、紫紀さん、京助の味方なんじゃないんですか」
 速水はがっくりと、反論した。
「いやだって、研二くん竹を割ったみたい真っ直ぐな人だよ。そんな彼が何もかも捨てるってよほどの思いだ」
 確かに研二は男から見ても清々しい感じがした。
もし紫紀のいうとおりであれば、もし京助がダチでなければ、速水は研二と千雪を後押ししてやりたいくらいだ。
「ただの想像ですし」
 互いの考えを極力客観的に判断してみる。
「うーん、研二くんが絡んでくるとなると、ああでもないこうでもないと俺ら二人で言い合ったところで、何かの足しになるかどうか、ってとこだな」
 結局この人でも突破口は見つからないか。
 速水はがっかりして、グラスに残った酒を空けた。


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