「人の恋路に首を突っ込むとろくなことがないってのは、身に染みてわかってるんですけどね」
速水が言うと、紫紀は苦笑した。
「今週末、ニューヨークの叔母一家が来るんで、京助も呼んだから、その時にちょっと聞いてみるか」
「そうですか。よろしくお願いします。京助のやつ、俺らの話なんか聞きやしないんで」
「俺の話こそ聞かないだろう、あいつは。まあ、ちょっと尻を蹴飛ばすくらいが関の山だ」
フンと紫紀は鼻で笑った。
店を出て大通りに出ると速水はタクシーを拾った。
週末までまだあるし、乗り掛かった舟だ、もうちょっと調べてみるか。
そうだ、あいつ、どこの会社って言ったっけ。
原夏緒の展覧会の時だったか、軽井沢でだったか聞いた気が。
何だっけ、西日本建設? だったか。
まあ何にせよ明日だ。
西日本建設の東京支社ビルは虎ノ門にあった。
速水が受付で三田村にアポはないが逢いたいというと、連絡を取ってくれた。
「速水って誰や思うたらあんたか」
三田村はちょっと手を上げた速水を認めて、そう言った。
一階にある打ち合わせスペースに速水を促すと、向かいに座った三田村は、「それで、何の用ですの?」と聞いた。
「君も仕事中でちんたら世間話をしている暇はないと思うんで、率直に聞くが、千雪くんと研二くんはどうなってるんだ?」
すると三田村は腕組みをして速水を見た。
「それを速水さんに答えなくてはならないわけは?」
三田村は軽く聞いた。
「京助が千雪くんから別れを告げられたと言って荒れてるがその真意が知りたい。心配した理香がたまたま研二くんの店で千雪くんに会って、研二くんのところにいるらしいことを知った。君らも同級生で長い付き合いのようだが、俺らも京助とは長い付き合いでね。あいつが世間で言われているようなワルじゃなくて、好きなヤツにはうっざったいくらい世話好きな男だってことはよく知っているからな」
「速水さん心理学者でしょ? 第三者のプライバシーに関わることを別の第三者に軽々しくアウティングしていいんですか?」
人をくったような笑みを浮かべて、三田村は聞き返した。
「とっくに君は千雪くんのことを知ってただろう? 青山プロダクションで会った時。ともかく、回りくどい話はこの際いらない」
速水は睨み付けるように三田村を見た。
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