花さそう60

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「へえ。しかし代々議員って、世襲議員とか日本の政治の最も恥じなとこだよね」
「はあ、まあ、若いひとたちはそう思ってますけど、やっぱり私らの親の世代だと、やれ後継ぎはどうとかって、二世三世を担ぎ上げてますよ」
「ほんと、呆れる話だね、どうにかしないといけないよね」
 秋山は苦笑を浮かべて席を立った。
 良太は秋山の発言から、洋子の言う秋山一郎というのが秋山の父親だろうと推察した。
 政治家の家系か。
 そういえば工藤の亡くなった恋人の桜木ちゆきの父親も政治家だったよな。
 ちゆきさんと小田弁護士や荒木検事が、贈収賄で失脚させたって話だけど、結局ちゆきさんの妹婿が桜木元代議士の地盤を継いでるって話だし。
 秋山さん、そういうこともおそらく知っているから自分の家や親の話を口にしたくないのかも知れないな。
 沢村ンとこも似たようなもんだし、家族っていってもいろいろあるよな。
 何かにつけ、秋山さんが俺が幸せな家庭に育ったみたいな言い方をするのもきっとそういう事情があるんだ。
 ふと見ると、工藤は宇都宮を捕まえてさらに小笠原を引き込んで仕事の話をしている。
 あーあ、もう完全にじっとしてられなくなったってやつだな。
 だからワーカホリックだって言うんだ!
 小笠原も可哀そうに。
 美亜とラブラブ気分でいたいだろうに。
 さっきから何となく違和感を覚えていた良太は、その原因が何なのかわかった気がした。
 沢村は酒豪連中と酒の飲み比べで騒いでいるが、佐々木は直子やアスカと同じテーブルで楽し気に話している。
 二人とも楽しそうにはしているが、あれは何かあったな。
 良太はピンときた。
 頼むからこっちにとばっちりをよこさないでくれよ。
 何せ二人の間に亀裂が入った日には、周り中を巻き込んで大騒ぎだった過去がいくつかあるのだ。
 その時、アスカがフフフ、と意味ありげに良太を見た。
「何ですか? また俺の悪口?」
 良太は今度は何を持ってこようかと皿を持って立ち上がった。
「工藤さん、やっぱ仕事の虫が騒ぎだしたみたいって話よ」
「まあ、よく我慢した方じゃないか? 風呂掃除にハマってたみたいだけど」
 仕方なさそうに良太は言った。
「それだけじゃなくてさ」
 アスカはそう言うと直子と顔を見合わせてフフっと笑う。
「何なんだよ? 二人して」
 怪訝な顔で良太は二人を見た。
「だってさ、工藤さん、ここにきてから何かって言うと良太に近づく宇都宮さんを牽制してたのにさ、仕事モードに切り替わった途端、二人して真剣な顔で話してるから、ギャップがおかしくて」
「はあ?」
 良太は増々首を傾げる。
「宇都宮さんは別にいつも通りですよ?」
「良太は鈍感だからね」
 言い切ってアスカはワインをゴクゴク飲み干した。
「ちょっとそれ、いいがかり……」
「それでええんや、良太ちゃんは。余計なこと考えんでも」
 良太が抗議しようとすると、佐々木までがそんなことを言う。

 


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