花さそう59

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 身体が温まりそうなよく煮込んだ鶏肉のクリームシチュウ、鯛やアサリをつかったアクアパッツァ、サワークリームの乗ったボルシチと、柔らかいステーキの追加はその場で京助が焼いていく。
 刺身の盛り合わせやぶり大根や肉じゃが、サバの味噌煮などの和食系のテーブルでは、熱燗や焼酎が合いそうだと、早速工藤や宇都宮、秋山それに沢村が熱燗や焼酎を手に集まっている。
 サラダのテーブルには大根サラダや海鮮サラダ、それにトマトとモッツアレラチーズのサラダなど、バラエティに富んだ料理が各テーブルに並ぶ。
 スイーツは京助が作ったイチゴやベリーを使ったカスタードパイ、研二が創った和菓子の新作が数種類食べるのが惜しいくらい綺麗だ。
 誰かが土産に持って来たヴーヴクリコやドンペリニョンなどの高級シャンパンやワインは公一が一本ずつ開けていく。
 それ以外の酒は各々好きなものを各自で飲むことになっている。
「目移りするなあ。みんなちょっとずつ食べたいけど」
 佐々木が各テーブルを眺めて言った。
「片っ端から味見して行けばいいのよ。直が取ってきてあげる」
 直子は挑むように近くのシチュウのテーブルに突進した。
「和食系はオッサンらが陣取ってるなあ」
 美亜にサラダを取り分けた皿を渡しながら小笠原が呟いた。
「こら、早い者勝ちやで」
 ボルシチを皿に取りながら、千雪がアクアパッツァをたっぷり皿に取った良太に言った。
 辻をはじめとする体格のいい男たちに負けじと理香や彩佳があちこちのテーブルから料理を取ってきて空いているテーブルに持って行く。
「生存競争激しそうだなあ、これは」
 ようやくシチュウを二皿悠がいるテーブルに持って来た藤堂が呟いた。
 パンだけでなくおむすびのコーナーもある。
「うわあ、間に合った!」
 その時玄関からやってきた洋子が大きな声で言った。
「あら、洋子ちゃん、お帰り」
「わあ、理香さん、それどこから持って来たんですか?」
「これはボルシチ、向こうのテーブルにあるわよ」
 聞くが早いか、洋子は皿を持ってシチュウのテーブルに向う。
「こら、洋子、ちゃんと両親孝行してきたんだろうな?」
 洋子を認めて京助が言った。
「あ、ありがとうございました。ただ今戻りました! お陰様でちゃんと」
 あつあつのボルシチを皿にたっぷり取ると、洋子は理香のいるテーブルに戻ってきた。
「洋子ちゃん、この近くなの? ご実家」
「ええ、小諸なんです。京助さんがせっかく来たんだから家にも寄ってこいっておっしゃるし、お言葉に甘えて夕べから行ってきたんです」
 洋子はそれだけ説明すると、取ってきたパンやワインを置いて、早速食べ始めた。
「おいしいいいい!」
 幸せそうに言う洋子に、「じゃあ、俺と同郷だね」と秋山が声をかけた。
「秋山さん、どちらなんですか?」
「まあ、この辺?」
「え、そうなんですか? あ、まさか、県会議員の秋山一郎とかとは関係ないですよね?」
「県会議員の名前なんか、よく知ってるね?」
 秋山はサラリと洋子の質問をかわすように聞き返した。
「だって、このあたりじゃ、一番の名士で代々議員の秋山家っていえば知らない人はいませんよ」
 近くのテーブルにいた良太は、何気なく二人の会話に聞き耳を立てた。

 


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