花のふる日は26

back  next  top  Novels


 強盗殺人で死刑囚となった犯罪者と話をしたこともあるのだが、そういえば担当検事が千雪に対して、「君は常に冷静でかなり度胸がある」と評したことを思いだした。
「何があっても動じないよね、小林くんて」
 中学、高校を通じて、そんなことも言われていた。
「いつも冷静でなんかいられるわけないやん」
 それは本当の千雪を知らないからだとわかっている。
「ええか、まず自分の力考えて、すぐケンカ買うたりすんなや」
 別れ際まで、研二はそんなことを心配してくれた。
 取り乱して、ぎゃあぎゃあ泣き喚く千雪をなだめてくれたのは京助だった。
「そうか……ほんまの俺をわかってくれるやつ……もうおれへんのんやな」
 タブレットを開きながら、千雪はひとごとのようにポツリと呟いた。

 


back  next  top  Novels