空はやっぱ青い2

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 ハンドルを切り損ねた自損事故で、相手があるわけではなかったが、平野はムチ打ちと大腿骨骨折で手術を受けたばかりだという。
 全治三か月からリハビリで完治するまで下手をすると半年かかる可能性もあるらしい。
「わかりました。お大事になさってください」
 茶道家元の一番弟子という役柄で、まず撮影は無理だろうということで、至急代役を探さなくてはならなくなった。
「良太さん、何かあった?」
 腰を据えて向かおうとキッチンでコーヒーを入れていた良太に、森村が気づいて声をかけた。
「ああ、ちょっと厄介ごと」
 リビングへコーヒーを持って移動すると、良太はかいつまんで厄介ごとの内容を話した。
「え、良太さんがやらなくちゃならない?」
 森村は首を傾げつつ聞いた。
「俺以外いないじゃん」
 良太はタブレットでリストアップした俳優陣の事務所に候補に挙げた順に連絡を入れた。
 まだ撮影には入っていないとはいえ、近々で動き出す仕事である、まず三人に声をかけたが、丁寧に断られた。
 四人目五人目と断られると、良太もさすがに焦り始める。
「まだ見つかりません?」
 向かいでコーヒーを前に携帯をいじっていた森村が顔を上げた。
「今回かなり難しい。モリー、もう寝てもいいよ、付き合わなくて」
「いや、俺、こういう時のためにいるんで、ここで見守るしかできないけど」
 良太は笑った。
「え、大丈夫ですか? はい、三日後から都内ロケが始まるので」
 七人目でようやくOKが出た。
「はい、うちの秋山から明日にでも詳細を連絡させていただきますので、はい、よろしくお願いいたします」
 携帯を切ると、すぐに秋山を呼び出した。
 青山プロダクション所属俳優中川アスカのマネージャーが秋山だが、良太のいない間は、できる限り良太の仕事を手伝ってくれることになっていた。
「あ、すみません、今大丈夫です? 実は『はげしかれとは』のロケの件で」
 平野の離脱を告げると、「わざわざそっちで連絡とったの? 俺がやったのに」という返事が返ってくる。
「いや、だって、アスカさん、今ドラマも入ってるでしょ。とりあえず、代役は清水耕哉さんOKいただきましたので、すみませんが、早急にアポ取って大洋プロへ出向いて詳細を説明いただければ」
「了解」
 秋山はまた何かあったらいつでも言ってくれと、携帯を切る前に付け加えた。
「なんか、俺、向こうにいた方が動けた気もするけど」
 森村が真面目な顔で言った。
「いやもう、その時その時で対応するっきゃないんじゃない?」
 良太は苦笑したが、実際翌日はドキュメンタリー番組の件で下柳チームから連絡が入り、一時間くらい打ち合わせに費やし、さらに東京から映画で大道具を担当する大森美術の大森和穂が、制作した窓がどうしても気になるから画像を見てほしい、とラインに画像を何枚か送ってよこした。
 良太は自分なりの意見をラインに送った。
 


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