シャンパンゴールドの煌きに通りは彩られていた。
仕事で丸の内に来て、外に出てみたら既に日は暮れていたが、豪奢な光の渦に佐々木は目を細めた。
クリスマスまであと数日、あちこちのイリュミネーション・スポットでは今年最後の輝きを競っているようだ。
それはいいが、いつもより人が多い。
カップルがやけに多く思われるのは気のせいではないだろう。
どこもかしこもいちゃついている連中が目に入ってきて、佐々木は眉をひそめる。
無闇に腹が立つのは何でや?
リセットして、なかったことにしたはずのトモのことは、考えないようにしているつもりなのだが、どうかすると勝手に思考を占領してしまうのを、佐々木はもどかしげに振り払う。
「くそ、何か、こう、胸とか胃とか何か重い石でも入ってそうな気ぃする」
丸ビルの前で、佐々木は呟きながらベンチを見つけて腰を降ろした。
「ったく、一気に老人になった気分やで」
携帯も常に電源を切っているわけにもいかないので、たまにオンにすると留守電に並んでいる番号のうち、いくつか同じものがあるが、それを無視して仕事先の電話番号をタップした。
「佐々木と申しますが、……あ、良太ちゃん、すみません、お電話いただいたみたいで」
青山プロダクションの広瀬良太からの電話は、大和屋のイベントの件だった。
『年明けの大和屋のショーのモデルさんなんですけど、古谷さん、実はダメそうなんです。それで、先日元サッカー日本代表の前島氏に番組でコメンテーターとしてきていただいた時、ちょっとお願いしてみたら、あっさり快諾していただいたので。あと野球選手の方は二人ともOKです』
「………二人…とも?」
野球選手。
よもや、こんなことになろうとは。
『ええ、レッドスターズの新藤投手はちょっと無理でしたけど、関西タイガースの沢村選手とマーリンズの三田選手にはOKもらいましたので』
「……沢村…選手も?」
佐々木は念のために確認してみた。
『あ、はい、全然大丈夫だって言ってました』
はあ……マジか………。
『あ、そうだ、すみません、ご連絡しなくちゃだったんですけど、俺、うっかり忘れてて。沢村、あいつから佐々木さんに連絡行きませんでしたか?』
「え?」
良太の問いかけに佐々木はドキリとする。
『実は十月の末、最初に小夜子さんと打ち合わせした夜、俺、沢村とあの後約束してたんですけど、たまたま俺らのことも見かけたみたいで、次の日あいつから電話があって、佐々木さんのこと聞かれたんでクリエイターだって話したんです。そしたら仕事を依頼したいから佐々木さんのオフィス教えてくれって言われて、一応電話番号とか教えたんですけど』
「ああ、それでか……」
佐々木は思わず笑ってしまった。
何と、こんな身近なところに答えが転がっていたのだ。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
