『あいつ何か失礼なこと言いませんでしたか? マスコミとかにメチャ無愛想で、上から目線だし。一応、ちゃんと礼儀正しくしろよとは言っておいたんですけど』
「いや、……そんなことは。良太ちゃん、随分親しいんやね? 沢村選手と」
『親しいってか、ガキの頃からリトルリーグで対戦してたんで。俺、ピッチャーだったんですよ。大学までライバル、って俺の方は思ってるんですけどね。番組も知り合いじゃなかったら出てくれてたかどうか』
「え…………」
「ガキの頃から好きだったヤツに振られたって、話しましたよね」
そういえば、トモがそんなことを言っていたのを佐々木は思い出した。
もしかして……。
「そうなんや。決まり、なら仕方がない」
佐々木はうっかりため息をもらしてしまう。
『え? 何か不都合でもありましたか?』
「いや、何もないよ。ありがとう」
良太には悪気も何もないのだ。
仕事を依頼したいといえばオフィスを教えたって不思議はない。
良太が先に沢村のことを連絡してくれていたら、また違った展開になったかもしれないが。
今更そんなことを言っても始まらない。
トモのことはもう、リセットしたはずやんか。
佐々木は再び携帯の電源を切ると、重い腰をあげて歩きだした。
冷たい空気の中で、シャンパンゴールドの煌めきだけが無機質に佐々木の背中に降り注いだ。
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