「メリークリスマス! これはこれは、どこのモデルさんかと思いましたよ。なかなか可愛いですね、佐々木さん、直ちゃんはもちろんだけど」
相変わらず藤堂は口がうまい。
「ええ? 藤堂ちゃん、ナオはついでみたい~」
「とんでもない、可愛いカップルって感じだよ」
「ナオちゃん、いらっしゃい! 可愛い! あ、佐々木さんも、すんごいきれいです!」
直子と藤堂がそんなやり取りをしているところへ浩輔が現れた。
「浩輔ちゃん、久しぶり~」
直子と浩輔がハグしているうちに、佐々木は藤堂に土産を渡す。
「おや、アンリ・アベレとパティシェリ・キクチのパステルチョコじゃないですか。しかも焼酎まで。そんな、河崎に気を使うことないのに」
「使うてませんよ。何となく飲みとなって」
「さあ、どうぞ中へ」
藤堂が二人を招きいれた先には、まさしく「ホームアローン」なクリスマスが展開されていた。
大きなツリーがまず出迎えてくれる。
広い空間にキャンドルライトとフロアスタンドだけの灯り、大人な雰囲気でと藤堂が言うように、うるさくない程度にクリスマス曲が流れ、招待客はあちこちで思い思いにここでの時間を楽しんでいるようだ。
奥の大きなテーブルにはマイセンの食器に肉料理、魚料理、サラダ、フィンガーフードやスイーツが盛り付けられ、グラスなどもそんじょそこいらの店には置いてない代物が並んでいる。
「お飲み物、何がいいです?」
浩輔と新進画家の悠が俄かギャルソンをしていた。
「あたしはシャンパン」
「俺も」
危なげな手つきの悠からシャンパンの入ったグラスを受け取ると、二人は壁際のソファに落ち着いた。
「何かもらってくるね」
シャンパンを少し飲むと、直子が立ち上がった。
「ええよ、俺が……」
「佐々木ちゃん、疲れてるみたい。いいの、座ってて」
直子は本当に頼りになるパートナーだ。
やはり佐々木が何かおかしいと気づいているのだ。
トモからの電話のこともある。
直子は無理に聞くようなことはしないが、佐々木を心配してフォロウしてくれる。
「俺って、ほんま、ふがいないなぁ」
やがて直子は料理の載った皿を二つ手にした浩輔をひき連れてやってきた。
「佐々木さん、お疲れみたいだけど、大丈夫ですか? また無理してるんじゃないですか?」
佐々木はシャンパンの入ったグラスを傍らの小テーブルに置くと、浩輔から料理の載った皿とフォークを受け取った。
「いや、いつものごとくや。浩輔こそ、大変やな? 毎年パーティに駆り出されて」
「それこそ、いつものごとくですよ」
ハハハと浩輔は笑う。
「五十嵐くんはバイト?」
「ええ、ほら、あそこにいる二人も悠ちゃんの大学の仲間で、一緒に手伝ってくれてすんげく助かってます」
浩輔が話している間に、その二人が佐々木のところにやってきた。
「佐々木先生、お目にかかれて光栄っす! 俺、高津って言います。悠と大学ん時同じクラスで」
髭面の男がしゃっちょこばった表情でぺこりと頭を下げる。
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