「ああ、今度、俺んちで鍋しようって話。炬燵を買ったんだよ。俺、炬燵を囲んで鍋って、憧れててさ。ほんとは良太ちゃんちでやろうって言ってたんだけど、大人数で押しかけたら猫ちゃんびっくりするだろうし」
「それより、俺の部屋にそんな大勢、ムリっすよ」
「宇都宮さんとこでやるの? あたしも入れて!」
宇都宮と良太は竹野を振り返る。
「俺ンとこに紗英ちゃんきたら、またマスコミに写真撮られるかもよ? 熱愛、とか、ドラマで急接近、とかって」
充分ありそうなことを言いながら、宇都宮が笑う。
「何とかスポーツ紙? それいいかも。ドラマの宣伝にもなるよ」
竹野が目を輝かせる。
「面白がってますね? 二人とも」
でもこのドラマで成長したと思うのは本谷だが、竹野も最初の頃の雰囲気から変わったような気がしていたのは、おそらく彼女も成長したのだろう、と良太は思う。
何か言われようものなら跳ね飛ばしてやろうくらいなきつさがあったのが、言葉のとげとげしさがまずなくなった。
「でもほんとに親しくなったとか? お二人とも」
良太が言うと、竹野がケラケラと笑う。
「違うよね~、だって、宇都宮さん、良太ちゃんオンリーだもん」
「は?」
良太は竹野をマジマジと見つめる。
「そうじゃないかと思ってたんだよね」
「この子、やっぱ鋭いよね」
などとのんきに笑う宇都宮を今度は振り返る。
「まあ、じゃあ、紗英ちゃん追加で、ひとみちゃんと須永くんと良太ちゃんってことで、皆のスケジュール合わせないとな」
「何か楽しみ!」
携帯を取り出してスケジュールを確認する宇都宮に、竹野が嬉しそうにのたまう。
え、これでいいのか、と思いながら良太は先を思いやるが、この二人がこんなに機嫌がいいということは、彼らのパフォーマンスは上々の出来だったということだろう。
ドラマの反響も悪くないだろうことは十分に予測できる。
工藤にもいい報告ができるだろう。
ニューヨークの撮影、うまくいってるのかな。
「田園」は二けたの視聴率を維持し、見逃し配信でもかなり手ごたえがあり、このままぶれなければ、プロジェクトとしては概ね成功といえるだろう。
一方、「からくれないに」の方はこのシリーズの固定ファンがついていることと、連ドラという新たな形式や、このドラマの放映までに本谷の人気がうなぎのぼりで、しかも主要な位置にある役だったことも加味してなかなかの視聴率を取っている。
ネット配信でもいい感じで、広報のSNSにも今までより若い層の女性からのアクセスがぐんと増えたようだ。
目下のところ良太の難題は水波関連だった。
主演の交代で大澤に決まったものの、撮り直し分の他の俳優陣のスケジュールのすり合わせが難航し、あちこちの事務所やクルーらとかなり揉めているらしく、未だ撮影までに至っていない。
「大いなる旅人」は第一回のドラマから英報堂が関わってきたが、映画化にあたっても重要なスポンサーであり、広告戦略に携わってきた第一営業部の乾和重部長との打ち合わせにも、良太が出向くことになっている。
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