よもや豪邸でのパーティ会場を指定してくるとは想定外だった。
「待て! Dr.C一人を渡すわけにはいかんというNASAからの要望がある。彼の助手を一人付けたい」
「もし、捜査官だったら、即刻命はない」
「NASA宇宙局の科学者だ。Dr.フォックス、二十八歳。彼らの安全は保証してくれるな?」
既にケインをDr.フォックスとして経歴や家族構成まで、架空の情報を宇宙局コマンドを通して設定させている。
「それは約束すると言ったはずだ。もしCIRUや警察がおかしな真似をしたら、約束は無効だ」
電話はそこでプッツリ切れた。
逆探知は無駄だった。
「あえてVIPや著名人が集まる場所を指定してきたわけだ。こっちの動きを封じるために」
ルカは眉をひそめた。
「くえねぇやつらだ! クソッ!」
エミリーが衛星を使ってかろうじて画面に映し出した、ド・コリニー邸の様子を睨みつけながら、デレクは吐き出すように言った。
「私邸ですから、今はこれ以上は難しいですね」
エミリーも言葉に悔しさを滲ませた。
ラコストは部下に通達し、ド・コリニー邸を張らせるとともに、捜査関数名をパーティスタッフとして即座に送り込んだ。
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