ACT 2
ルカとケインは指定された時刻が近づいてくるのをじりじりと待っていた。
いつもは無造作に垂らしている髪を分けて撫でつけ、ルカは地味なグレーのスーツの上にトレンチコートをはおっていたが、どちらかと言うと却って若く見えた。
必要以上に無駄口をたたくはずのデレクは、ちらっと二人に視線を向けたもののムッとしたように唇を閉じ、黙って愛用のスミス&ウェッソンM29の手入れをしていた。
「君が着ると何でもキュートになるな、うん、知的な君の鳶色の瞳によく似あう。充分学者に見えるけどね」
ケインの声は当然デレクにも聞こえてくる。
あんのヤロー!!絶対あいつ、ルカに…!!
ケインを睨みつけないようにしようと思いながら、デレクは気が気ではない。
やたらりりしくブランド物のスーツを着こなしたケインは、眼鏡などかけると確かに学者然としている。
クッソーッ!!俺も眼鏡くらいかけてやろうじゃねーか!
当のデレクも目立ちやすいブロンドを焦げ茶に染め、青い目には茶色のコンタクトが入っているし、いつもと違うお仕着せのホールスタッフ用の制服を窮屈そうに着ている。
デレクは二人よりも早めにド・コリニー邸に潜入し、二人を出迎える側にまわることになっていた。
「なんだかいつもより緊張するな」
ルカが対策室を出てトイレに向かうのを見ると、デレクも黙って後を追った。
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