デレクとともにド・コリニー邸に潜入していたドイツ連邦警察の捜査官、ラッセンとユンガーもすぐさまデレクに続いた。
ドイツ連邦警察では以前から『カフカ』を追っていたが、なかなか尻尾をつかむことができず、今回の一件に協力を申し出てきたのだ。
待機していたパリ警視庁のコマンド対策部隊も直ちにヘリコプターを追った。
ラコストと情報を持ってきた宇宙局員らしき男が、調理室へと続く廊下の途中にある物置部屋で殺されているのをド・コリニー邸のメイドが見つけて叫び声をあげた。
知らせを受けて駆け付けたデレクの目の前に、スーツの若い男に折り重なるようにして倒れているラコストの遺体があった。
その目は驚愕と怒りに見開いていたが、おそらく即死だと思われた。
その間、五分もたたなかったろう、デレクはすぐにルカに知らせた。
あまりにも唐突過ぎる別れに、感情は遅れてやってきた。
ルカが乗っているだろうヘリを追うデレクは静かな怒りとルカへの思いで今は頭がいっぱいだった。
「ルカ!」
ぜってぇ、お前を死なせたりはしねぇ!
「おそらくリヨン、サンテグジュペリ空港に向かっていると思われます。あ……リヨン空港から二時間後に、セバスチャン・オーフェルベックの名前でチャーター機が!」
一度対策本部に戻るようにというエミリーの指示に従って、デレクはハンドルを切るとA6b号線に入りアクセルを思い切り踏んだ。
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