練はそんな力を見てクスリと笑う。
「お前ってさ、ほんっと、まんま、ガキの心理状態?」
「るせぇんだよ! 何、ニヤけてんだ!」
練をジロリと睨みつけ、「出てくる」とジャケットとヘルメットを掴んで、力はたったか店を出て行った。
唐突な坂本からの電話に眉をひそめたのは佑人だった。
いつの間に勝手に登録したのか、坂本の名前がしっかり画面に出ている。
「ああ、今、柳沢さんいるよ。聞いてみようか」
冬休みに入ったので、柳沢は週二回、午後一時から四時まで佑人の家にきてくれることになっている。
会ってもいいというので、坂本にそう告げて、坂本が言う喫茶店に四時半の約束をした。
その後、携帯をしまおうとしたが、柳沢がトイレに立った時に、もう一度画面を開いて、ひとつの名前を探した。
啓太の番号やアドレスは、二年になって間もなく、啓太に請われて交換したのだが、たまに啓太からメールが入ったりしただけで、佑人から電話をかけたりすることもなかった。
だが一昨日のイブにあんなことがあってから、佑人が気にかかっていたのは東山のことだ。やはり東山は風邪で休んだのではなく、東條の連中にやられたらしい。
しかもどうやら原因は自分なのだ。
昨日は朝晩のラッキーの散歩くらいしか外には出なかったのだが、やはり見張られている気がした。おそらく、一昨日、東條の連中に捕まった時、バイクで助けてくれた練や力の仲間だろう。
坂本が近づいてきたのもそのことがあるからなら、家庭教師は口実だと思っていたのだが、そうでもないのだろうか。
「あ、成瀬だけど」
『成瀬!? 大丈夫? 東條のやつらに待ち伏せされたんだって? 怪我とかしなかった?』
携帯に出るなり、啓太は立て続けに聞いてきた。
「大丈夫、山本とか練さんの仲間とかに助けてもらったから」
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