「ああ、こないだで終わり。だから、それこそ一石二鳥だろ、俺が成瀬は引き受ける」
力はしばし坂本を睨みつけたまま黙っていたが、「……だったら」と唸るように口にした。
「手ぇ抜くなよ、成瀬の……」
「だーから、俺ら、気が合うし? 少なくともお前よりはさ、こないだはぬかったが、やつらに指一本触れさせねーって」
すると力は坂本からようやく視線をはずした。
「何かあったら、すぐに連絡入れろ」
「まぁかせとけって」
坂本はうきうきと立ち上がり、コートを羽織りながらレジに立つ。
「練、お勘定!」
「今度は、えらく上機嫌じゃねぇか」
「そ、これからデートなんだ。成瀬くんと」
それを聞きつけた力が立ち上がった。
「てめぇ、ふざけたことぬかしてんなよ!」
力の言葉が終わらないうちに、坂本は店を出て行った。
「フーン、坂本が一緒なら、成瀬くんの張り込み、引き上げてもいいか」
練が言った。
「いや………、ダメだ。続けろ」
「力、いつにも増して、顔が怖いぜ?」
「るせぇ!」
練のからかいにも、力は余裕なく怒鳴る。
「だーから、店ん中で怒鳴るな! 客が減る」
「知るか!」
不貞腐れた顔で、力はまたソファに座りなおすが、落ち着かない仕草で指がしきりにテーブルを叩く。
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