空は遠く99

back  next  top  Novels


「ああ、こないだで終わり。だから、それこそ一石二鳥だろ、俺が成瀬は引き受ける」
 力はしばし坂本を睨みつけたまま黙っていたが、「……だったら」と唸るように口にした。
「手ぇ抜くなよ、成瀬の……」
「だーから、俺ら、気が合うし? 少なくともお前よりはさ、こないだはぬかったが、やつらに指一本触れさせねーって」
 すると力は坂本からようやく視線をはずした。
「何かあったら、すぐに連絡入れろ」
「まぁかせとけって」
 坂本はうきうきと立ち上がり、コートを羽織りながらレジに立つ。
「練、お勘定!」
「今度は、えらく上機嫌じゃねぇか」
「そ、これからデートなんだ。成瀬くんと」
 それを聞きつけた力が立ち上がった。
「てめぇ、ふざけたことぬかしてんなよ!」
 力の言葉が終わらないうちに、坂本は店を出て行った。
「フーン、坂本が一緒なら、成瀬くんの張り込み、引き上げてもいいか」
 練が言った。
「いや………、ダメだ。続けろ」
「力、いつにも増して、顔が怖いぜ?」
「るせぇ!」
 練のからかいにも、力は余裕なく怒鳴る。
「だーから、店ん中で怒鳴るな! 客が減る」
「知るか!」
 不貞腐れた顔で、力はまたソファに座りなおすが、落ち着かない仕草で指がしきりにテーブルを叩く。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ