空は遠く101

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『よかったぁ、俺もさ、何か因縁つけられて、たまたま力が通りかかったからよかったんだけど……』
「東山、怪我したって? 入院とか?」
『あ、聞いたんだ? うん、あいつ、かなり喧嘩慣れしてるはずなんだけどさ、何人もでやられて、足、ひび入ったりしてさ、アタマとかはぶったくらいで、検査のために入院してたんだけど、今日退院したって』
「そっか……申し訳ないな、俺のせいで」
『いや、成瀬のせいとかじゃないって。それいうんなら、俺だし………』
「東山の家、知ってる?」
『え、うん、俺んちの駅の隣、下高井戸の駅のすぐ近く』
「教えてくれないかな、見舞い行きたいし」
『いいけど、今動かない方がいいんじゃね? 力からぜってぇ家から出るな、どうしてもの時は知らせろって言われてるから、俺、ほとんど出てねんだけど』
電話越しに、啓太の躊躇いが伝わってくる。
「大丈夫だよ。あとで坂本と会うんだ。家庭教師紹介することになってて」
『坂本と一緒なら、いっかな』
「住所教えてくれれば、携帯で探して行くから」
『わかった。えっと、世田谷区赤堤………世田線側にある銀行の裏の道入ってくんだけど、三軒目』
「ありがとう」
 佑人は携帯をポケットにしまうと、ひとつ大きく息をついた。
 イブの夜、佑人は幸せな気分で過ごした。
「何? 佑人、何かいいことあった?」
 夜遅く帰ってきた郁磨が、佑人の顔を見てそう言った。

 


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