空は遠く103

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 勉強を終えて家を出ると、佑人は柳沢と一緒に喫茶店に向かったが、既に坂本が来て二人を待っていた。
「坂本です。お忙しいのにお時間取らせて申し訳ありません」
 坂本は礼儀正しく頭を下げた。
 坂本の裏の顔を知らなければ、品行方正な優等生そのものだ。
 うまく世の中を渡っていく人間というのは卒がないな、佑人は苦笑する。
「いや、こちらこそ、わざわざ来てもらって申し訳ない。佑人くんから聞いてるよ、T大志望というか、合格圏内という話だけど、家庭教師必要なのかな?」
 柳沢は真面目で優しいが、言葉にオブラートをかぶせるようなタイプではない。
「そりゃ、受験まで一年ありますからね、このまま順調にいくとは限らないですし」
「でも、来年の夏には、俺、向こうに行くことになってるし、それでよければだけど」
「もちろんです」
「志望の学部は?」
「法学部です」
 きりりと坂本は答える。
「なるほど、俺の後輩になってくれるのは嬉しいな」
「あれ、成瀬は?」
「佑人くんは理系、天文学だよね? 先輩も物理だし、二人ともやっぱりお父さんの後を追うんだね」
 坂本はへえ、と佑人を見た。
「成瀬のお父さんって、そっち系なんだ?」
「ブラックホールの研究では世界でもその名を馳せてるよ。T大の物理学教授だ」
 柳沢がそう答えると、坂本はなるほどと頷く。

 


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