空は遠く104

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「それで、星とか詳しんだ。そっか、じゃあ、三年もクラス別か。俺、文系だし、残念」
「でも、大学は一緒なんだし、却って学部が違う方が妙なライバル意識持たないで友達でいられるんじゃないかな」
 柳沢は優しそうな笑顔を佑人に向ける。
「え……いや、T大行くかどうか、まだ……」
「ああ、そうか、ボストン戻ることも考えてるって言ってたよな? H大の方がってより、向こうの方が佑人くんには合ってるかもね」
 いきなり佑人の思惑を坂本の前で言われてしまい、佑人は少し眉を顰める。
「え………成瀬、そんなこと言わずに、とりあえず一緒にT大行こうぜ? お友達いないと寂しいじゃん、俺」
 茶目っ気たっぷりに坂本は目を瞬いてみせる。
「とにかく、坂本、スケジュール決めてもらうんだろ?」
 佑人はそれ以上自分のことを坂本に聞かせるつもりはないので、話を本題に戻した。
 柳沢にわざわざ、坂本は家庭教師を紹介しただけでそんなに親しくなんかないのだ、などと言うつもりはない。
 お友達とか言っている坂本が、本音では何を考えているかわからないが、何だかもう、全てを放り出して、いっそのことこの町から、この世界から消えてしまいたい。
 佑人はぼんやり、そんなことを考える。
 あの時の、あいつとの一瞬だけで、もう充分だ。これ以上顔を合わせたところで、いがみ合うだけだろう。それももう、嫌だ。
「じゃあ、火曜と木曜の午後一時から四時、学校が始まったら、夜七時から十時ということで、いいかな?」
「異存ないです。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」

 


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