「あ、おい、成瀬! 待てよ!」
坂本が慌てて佑人を追う。
その後ろから力も続く。
「もう、俺に構うな!」
佑人は木戸を開けると二人の鼻面で、力いっぱい閉めた。
「人をバカにしやがって……」
気配を感じて走ってきたラッキーと家に向かいながら、呟いた。
所詮、力という男はあんな風にこき下ろす程度にしか自分を見ていないのだ、そんなことはわかっていたはずだ、と佑人は自分を嘲笑う。
ほんっと、もうどうでもいい。せっかく、いい夢で終わらせようとしたのに。
まだ誰も帰っていないようだった。
鍵を開けて家に入るとリビングを突っ切って、佑人はキッチンに向かう。
「ラッキー、いい子にしてるんだよ」
佑人はラッキーにそう言うと、キッチンの奥のドアを開けた。そこから勝手口につづく石畳を歩く。表の生垣とは対照的に家の後ろはコンクリート塀になっている。
佑人は勝手口のドアを開けて裏の道へと出た。
久我山の駅とは逆方向へ歩き、一丁目の交差点までくると、佑人はタクシーを拾って下高井戸を告げた。
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