空は遠く108

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「あーあ、怒らせちまったじゃないか」
 坂本は閉じられた木戸の前で文句を言う。
「誰のせいだと思ってんだ」
 力は坂本を睨みつける。
「俺が引き受けるっつっただろ? 何でお前がくるんだよ。またしても嫌いな山本くんに出てこられて、成瀬、いい加減うんざりしてんだよ」
「てめぇは何するつもりだったんだ? 誰が送り狼になれっつったよ!」
「俺と成瀬のことだ、お前に関係ないだろうが」
「てめぇ、ヤツのパンチだけじゃ、足りねえみたいだな?!」
 図体の大きい男が二人、木戸の前で言い争いをしていれば、たまに通りかかる人も怪訝そうに見ていくのだが、お構いなしに二人は声を荒げる。
「うちに何か用かな?」
 ふいに声をかけられて二人は振り返った。
「あれ、君は坂本くんだっけ? 確か今度柳沢が家庭教師やるって言ってたね」
 郁磨だとわかって、力は思わず、ちっと舌打ちする。
「はい、お陰さまで」
 力は心にもない返事をする。
「佑人に用? どうぞ、入れば?」
「いや、あの、たまたま通りかかったんで、成瀬、どうしてるかなと。でも、こんな時間だしやっぱ帰らないと、うちの親も心配しますから」
 坂本が言った。

 


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